実質賃金伸び率公表いつ 算出に難色、政権に配慮か 有識者検討会

西日本新聞 総合面

 厚生労働省の毎月勤労統計で昨年の賃金伸び率が異常に上振れした問題で、「公式値」より実勢に近いとされる「参考値」の実質賃金伸び率が公表されない事態が続いている。厚労省が公表の可否を判断するため設置した有識者検討会が算出に難色を示し、議論に時間をかけているためだ。公表すれば前年比マイナスの実態が鮮明になるとみられることから、参院選を控えた安倍政権への配慮を疑う声も出ている。

 「まずは参考値の特性を知らないといけない」。検討会座長の今野浩一郎学習院大名誉教授は24日の会合後、西日本新聞の取材に、議論に時間をかけている理由をこう説明し政権への配慮を否定した。検討会発足から既に4カ月以上がたつが、議論がいつまとまるかは「分からない」という。

 検討会は学識者ら7人でつくり、2月22日の初会合を含め計11回の会合をこれまでに開催。3月下旬に示した中間的整理案では、参考値について「標本に偏りがある」「標本数が少ない」「特性に合った物価指数を作成することが困難」など妥当性を疑問視する指摘を列挙。その後、微細な検討を続けており、専門家や野党からは「政権にとって都合の悪い数字を出さないための時間稼ぎだ」との批判も強まっている。

 同統計は昨年1月に調査方法を変更し、2004年から続いた不正調査の補正も併せてひそかに行った結果、公式値が上振れするようになった。厚労省は上振れについてほとんど説明しないまま発表を続けており、アベノミクスの成果をよく見せかける「賃金偽装」があったのではないかと疑う声がなお根強い。

 参考値は、上振れ要因を取り除いて算出されるため実勢に近いとされるが、物価変動を除いた実質ベースでは算出されていない。野党は、18年の実質伸び率をマイナス0・3%と独自に試算し2年ぶりにプラスとなった公式値(0・2%増)とかけ離れていると指摘、厚労省に正式な試算と公表を求めている。

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