オジサンの懐古趣味というわけではない…

西日本新聞 オピニオン面

 オジサンの懐古趣味というわけではない。政府の発表文書を読んで、ふと半世紀前の映画を思い出した。「いちご白書」。1960年代の米国で大学生が繰り広げた学園闘争の物語。日本の若者の間で共感を呼んだ

▼日本でも60~70年代、学生が反戦や反体制を叫んで行動を起こした。挫折や混乱も伴ったが、彼らのエネルギーが社会を揺さぶった。そんな時代も幻か

▼冒頭の文書は2019年版「子供・若者白書」。そこで報告された数字の低さが気になった。「政治に関心がある」12%、「社会問題の解決に関わりたい」10%、「海外に留学したい」5%、「ボランティア活動に興味がある」33%…

▼内閣府が13~29歳を対象に行った意識調査の結果だ。欧米や韓国など海外6カ国でも同時に実施して比較したところ、これらの数字はいずれも日本が最低だった

▼国家が安定し、不満がないのか。否、日本の若者は「自国の社会」「今の職場」への満足度も他国に比べて低かった。抗議しても世の中は変わらない…という冷めた意識があるのか

▼香港では、若者が大規模デモなどを続け、政治権力の強化につながる条例改正を阻んだ。少しまぶしく見えた。「いちご白書」が公開された頃、日本ではこの歌がはやった。「青年は荒野をめざす」。五木寛之さんの同名小説がモチーフだった。ここまで書くと懐古趣味か。いや、やっぱり今の日本はどこか寂しい。

PR

アクセスランキング

PR

注目のテーマ