五島に「猫の島」 35人の黄島に人口の倍以上 豊富な餌、島民と共生

西日本新聞 もっと九州面

港で早速、猫が“お出迎え”。魚に飛びつく姿が愛らしく、思わずカメラをパチリ 拡大

港で早速、猫が“お出迎え”。魚に飛びつく姿が愛らしく、思わずカメラをパチリ

飼い猫に餌を与える女性 民家の敷地にあったリヤカーの下では猫がくつろいでいた 人に慣れているのか、近づいても逃げる様子はない 民家でくつろぐ猫たちを温かい目で見守る島民 黄島

 福岡県で玄界灘に浮かぶ相島(あいのしま)や響灘の藍島(あいのしま)は、猫が多い「猫の島」として知られる。近年の猫ブームで、二つの島には外国人観光客も訪れるようになっているという。そんな中、長崎県五島市にも島の人口よりも猫の数が多い島があると耳にした。通信部のある五島・福江島から訪ねてみた。 

 五島市の福江港を定期船で出航し、波に揺られて37分。福江島の南南東約18キロに浮かぶ人口35人の2次離島(大型離島の周辺に点在する小離島)、黄島(おうしま)に到着した。

 「猫を撮りに来たのね」。一眼レフのカメラを首から下げている私を見て、島民の福永鈴代さん(63)が声を掛けてくれた。複数の島民によると、周囲約4キロの黄島には現在、人口の倍以上の猫が住んでいる。数年前から、猫好きの人たちの間では「五島列島にある猫の島」との口コミが広がっているらしい。

 「最近も東京や名古屋から、猫を撮りに観光客が来とったとよ」と福永さん。猫がたむろしているポイントを5カ所教えてもらい、早速、島内を散策した。風よけに積んだ石垣が並んだ細い路地を歩くこと数分。早速、まだら模様や黒の5匹の猫たちと出会った。人に慣れているのか、逃げる様子はない。何度もカメラのシャッターを切ることができた。寝転んだり、毛繕いしたりする姿はかわいらしいというか、素直に癒やされる。この日は45匹の猫を確認できた。

    ◇   ◇

 黄島に猫が多いのはなぜか‐。島民に聞くと、「車の通行がない」「餌となる魚が多い」「島から出た人の家で飼われていた猫が繁殖していった」…とのこと。避妊手術を受けている猫は一部にとどまっているという。

 「畑を荒らされるので嫌い」という人もいたが、食事を定期的に与えるなど「地域猫」として多くの島民が受け入れている印象を受けた。「黄島は、猫と人が共存している『猫にも人にも優しい島』」と福永さん。複雑な路地で島民と会うたび、猫が多くいる場所を案内してもらい、その言葉が身に染みた。

 黄島はかつてカツオ漁などで栄え、1955年には651人が住んでいた。しかし、多くの長崎の離島同様、高度経済成長とともに人々は島を出て、過疎化が進んだ。石鯛などの釣りスポットとして全国の太公望たちに知られる島でもあるが「『猫の島』を見に訪れる人が増えて、以前の様なにぎわいのある島に少しでも近づけたらいいですね」とは中村長久さん(77)。

 福江港への帰りの定期船を待っている船着き場で、福永さんが「猫は夕方が本番。どこからともなく20匹くらいが集まってくる」と教えてくれた。日帰り旅だったため、この日の“猫の集会”には立ち会えなかった。島には民宿が2カ所あることも知った。今度は泊まりがけで、猫たちと優しい島の人たちに会いに行くことにしよう。

 ▼メモ 長崎港から福江港までは、ジェットフォイルやフェリーが運航。ジェットフォイルは85分から110分、フェリーは3時間10分から3時間55分。黄島へは福江港から1日2往復の定期船が運航している。

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