米中協議継続なるか G20で29日首脳会談へ

西日本新聞 総合面

 米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談が、大阪で開催される20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて29日に行われる見通しだ。最大の焦点は中断した貿易協議を再び軌道に乗せ、制裁関税の応酬を停止できるかどうか。北朝鮮の核問題や中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の禁輸などを巡っても駆け引きが繰り広げられそうだ。

■制裁関税回避へカード 中国

■決裂なら「第4弾発動」 米国

 「中米双方は引き続き意思の疎通を図っていくことで一致した」。中国商務省は25日、劉鶴副首相が米国のライトハイザー通商代表、ムニューシン財務長官と24日に電話会談したと発表した。米中首脳会談をにらみ、貿易問題の妥協点を探ったとみられる。

 ただ、双方の主張に隔たりは大きい。中国は既に発動した制裁関税を合意時に全廃するよう求めているが、米国は一部を残したい考え。産業補助金を巡っても米国が地方を含めて全国規模の廃止を求めているのに対し、中国は撤廃に慎重だ。法整備を強いられる合意にも難色を示している。

 事前調整は進んでおらず、こうした問題を首脳会談で一気に解決するのは困難だ。会談が決裂すれば、米国は中国からのほぼ全ての輸入品を追加関税対象にする制裁「第4弾」を発動する構えで、習氏は回避するためさまざまな交渉カードを用意している。

 その一つが北朝鮮だ。習氏は20、21日に訪朝し、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談した。会談内容を取引材料に、非核化交渉の再開を目指すトランプ氏から貿易問題で譲歩を引き出す構えとみられる。

 ハイテク製品に使われるレアアース(希土類)の対米輸出規制をカードとして持ち出す可能性もある。米国は輸入するレアアースの8割を中国に依存しており、規制されれば米製造業には痛手だ。

 昨年12月のアルゼンチンでの米中首脳会談では、制裁関税の発動を見送り、交渉を進めることで一致した。香港メディアは今回も同様に「協議継続」となる可能性を指摘している。

   ■    ■

 米国内でも、対立激化を避けるために「協議の継続で合意できれば、大きな成果になる」(米メディア)との見方が多い。

 「(第4弾の)関税は、米国の子どもや子育て世帯に喜びを与える娯楽への増税だ」(玩具業界関係者)。米通商代表部(USTR)が17日からワシントンで開いた公聴会では、中国からの輸入品に頼る米企業の幹部らが連日、追加制裁措置への反対を訴えた。

 米政権はこうした批判を踏まえて、ペンス副大統領が24日に予定していた中国の人権問題を非難する演説を延期。首脳会談を前に、中国を刺激しないよう配慮する動きを見せる。

 ただし、予測できないのはトランプ氏の出方だ。米国は早ければ7月にも第4弾を発動できる準備を着々と進めている。トランプ氏は会談で習氏に実施をちらつかせて譲歩を迫るとみられ、米側が求める構造改革について習氏が譲らない姿勢を示せば、第4弾を強行する懸念は消えない。

 しかし、25%の高関税を一気にかければ、米企業や消費者への負担増は避けられない。このため、そうした負担を和らげつつ、トランプ氏が振り上げた拳を収める手段として、メキシコに不法移民の取り締まり強化を求めた際と同様、当面は5%の低率の制裁関税をかけ、中国の出方をにらみながら段階的に25%まで引き上げていく可能性もささやかれる。 (ワシントン田中伸幸、北京・川原田健雄)

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