食のバリアフリー 宗像の挑戦 外国人客増加、宗教に配慮 店主ら協会設立へ

西日本新聞 社会面

協会を設立する吉武麻子さん 拡大

協会を設立する吉武麻子さん

 世界遺産の地を食のバリアフリーの聖地に‐。宗教上の理由や食物アレルギーなど、食に制限のある人が安心して食事を楽しめる店を増やそうと、福岡県宗像市の飲食店主らが「ユニバーサルフードプラス協会」を設立する。同市の沖ノ島の世界遺産登録を機に、多様な食文化を持つ外国人観光客が増えたため。対応店が一目で分かる共通ロゴマークを作り、地域の魅力としてアピールする。

 市などによると2年前の世界遺産登録後、観光客は約3割増加。「神宿る島」という荘厳な雰囲気にひかれ外国人客も増えている。

 同市で菜食カフェを営む吉武麻子さん(46)は食物アレルギーのある親子向けに野菜料理を出してきたが、世界遺産登録後はさまざまな外国人客が宗像を訪れるようになった。

 豚肉やアルコールが禁止されるイスラム教徒、卵や乳製品なども避ける菜食主義者「ビーガン」…。昨年、人気アイドルのコンサートで福岡市を訪れた台湾の女性は、仏教由来でネギ類を避ける「五葷(ごくん)抜き」の制限があり、インターネットで店を探してやって来た。「誤食を恐れ、コンビニのおにぎりで我慢する外国人もいる」という。

 吉武さんは食の制限への配慮が地域の魅力アップにつながると考え、仲間と本年度中の協会設立を計画。栄養士や在日外国人にも加わってもらい、まずは制限される食材を使わず、簡単に作ることのできる基本メニュー(ユニバーサルフード)のレシピ化に取り組む。例えば、野菜カレーを用意、卵や肉などを好みに応じトッピングしていく。

 来年度からテキストを使った講習を始め、多様な食事情への知識が備わった店にロゴマークを配る。メニュー開発の相談に乗り、立ち入り検査も実施する。ロゴを制作した宗像市のデザイナー谷口竜平さん(38)は「食の違いがあっても、同じテーブルを囲める場を提供したい」と意気込む。

 訪日外国人への飲食店対応に詳しい九州経済調査協会(福岡市)の松嶋慶祐主任研究員は「見てすぐに分かる表示は重要。食への配慮は地方都市に観光客を呼び込む契機になる」と宗像の取り組みに注目している。

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