遠賀川 治水前倒し 西日本豪雨 堤防決壊危機1年 河道掘削、県の支流対策は途上

西日本新聞 社会面

 昨年7月の西日本豪雨で、福岡県を縦断する遠賀川は、本流と支流の5観測所で堤防が耐えられる「計画高水位」を超え、65年ぶりに決壊の危機に襲われた。国はこの1年、最大の支流・彦山川が合流し、水位が上がりやすい「日の出橋」(直方市)周辺を河道掘削するなど対策を前倒しで進めた。ただ、想定を超す豪雨災害は近年、各地で頻発。住民が災害に備え、早期避難に努めることも重要だ。

 西日本豪雨で遠賀川水系の上中流域の観測所は、24時間雨量の最大値を軒並み更新した。本流からの逆流を防ぐため、国は支流の水門を閉鎖。排水できない水があふれる「内水氾濫」が中上流域で発生し、飯塚市などで800戸以上が浸水した。

 国は補正予算約16億円などを投じ、日の出橋周辺の掘削を数年前倒しで終えた。増水時に流れを止める恐れがある河川敷の樹木を流域全体で伐採した。

 中下流域の水位を上げていた中間堰(ぜき)(中間市)は移築、拡幅工事が完了。堰の断面積は約1・6倍になり流量は大幅に増えた。国土交通省遠賀川河川事務所は「西日本豪雨で最も長く計画高水位を超えた日の出橋観測所で、水位が約80センチ下がる」と強調する。

 本流の堤防が決壊し甚大な被害が出た1953年6月の大水害以降、本流の整備は進む一方、その後の氾濫は主に支流で発生。支流の大部分を管理する県は被災河川の対策を優先するが、追いつかない支流が残る。

 河川事務所は「40年に一度」の洪水を想定した河川整備計画について、2020年度までに「60年に一度」以上に引き上げる改定作業を進めている。住民の自助意識向上も重要で、水位上昇時に住民がとるべき行動を時系列にまとめる「マイ・タイムライン」の普及を進める。

 遠賀川 福岡県嘉麻市が水源の1級河川で、本流の長さは61キロ。74の支流があり、流域面積は1026平方キロ。流域には22市町村あり、1平方キロ当たりの人口密度は約620人で九州の1級河川では最多。国が本流と大きな支流の総延長約134キロを、県は比較的小規模な支流を中心に約363キロを管理する。

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