平安時代の延長8(930)年6月26日、平安京内裏の清涼殿に雷が落ち、大納言藤原清貫らが死亡した…

西日本新聞 オピニオン面

 平安時代の延長8(930)年6月26日、平安京内裏の清涼殿に雷が落ち、大納言藤原清貫らが死亡した。清貫は菅原道真の大宰府左遷に関わったことから、道真の怨霊が雷となって恨みを晴らしたとうわさされた

▼たたりを恐れた朝廷は、京都に北野天満宮を建立して霊を鎮めようとした。道真は雷の神「天神」とあがめられ、後に学問の神様として広く信仰されるようになった。清涼殿落雷事件にちなみ、きょうは「雷記念日」とされる

▼昔はゴロゴロと鳴ると「くわばら、くわばら」と唱えた。道真の怨霊は都に何度も雷を落としたが、領地の「桑原」には雷が落ちなかったといわれ、地名が雷や厄をよけるまじないになったとか

▼おっかない雷も「稲妻」と呼べば、農家にはありがたいものに。稲穂が実る頃は雷が多かったので、古人は雷光が稲を実らせると信じた。稲にとって雷は伴侶を意味する「つま(夫・妻)」であり、「稲の夫(つま)」が「稲妻」に転じたという

▼あながち迷信でもなさそうだ。「稲妻の多い年は豊作」と伝わる。農学校教師だった宮沢賢治は「稲妻は空気中の窒素を分解し、雨と一緒に地上に降らせる。それが肥料となって作物がよく育つ」と生徒に話したという

▼夏は雷の多い季節だ。落雷の被害も全国で急増する。〈いなづまやきのふは東けふは西〉(其角)。天神様のご機嫌を伝える気象情報にご注意を。くわばら、くわばら。

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