【裁判員制度10年(1)】遺体写真「配慮」の加工 負担軽減へ絞られる証拠

西日本新聞

 刑事裁判に市民の視点を取り入れる「裁判員制度」が導入されて5月で10年が経過した。裁判員に選ばれた人々は殺人などの重大事件に向き合い、悩み抜いて有罪・無罪を判断してきた。制度の導入後、裁判所は裁判員にストレスを与える遺体の写真などの「刺激証拠」に慎重になり、代わりにイラストを採用するケースもある。また裁判員の「負担軽減」のため、公判前に証拠を絞る手続きも。この10年で浮かんだ懸念や、今後の課題とは。

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 裁判員に配られた遺体の写真は顔や傷痕がイラストに置き換えられていた-。

 福岡市で女子予備校生=当時(19)=が刺殺された殺人事件。福岡地裁で2017年に裁判員を務めた女性(51)は、加工された写真に違和感を覚えた。

 「悲惨な写真だからといって、実物を見ないで公正な裁判ができるの」。代用されたイラストは、被告の元少年=事件当時(19)=の殺意を示す重要証拠だった。

 初公判から判決まで約3週間、元少年と向き合った。反省しているのか、どう償うのか、更生の可能性は…。被害者の両親や兄の意見陳述にも耳を傾けたが、ふと、被害者のことが頭から離れる瞬間があった。

 女性を含む裁判員6人と裁判官3人が導いた判決は懲役20年(求刑懲役22年)。検察、被告側ともに控訴せず確定した。

 刑事裁判は、同一の証拠に基づいて裁くことが大前提。そのことを踏まえた上で、女性は「裁判員にもさまざまな感覚がある。写真かイラストか、選べるようにしてほしい」と思う。

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