スクールバス自宅に駐車 委託業者「車庫遠く経費削減のため」 八女市「不適切」と指導

西日本新聞 筑後版

平日の昼間、道路脇に止められたスクールバス=5月下旬、八女市(写真の一部を加工しています) 拡大

平日の昼間、道路脇に止められたスクールバス=5月下旬、八女市(写真の一部を加工しています)

 「八女市内で小学校のスクールバスのドライバーが、バスを自宅に持ち帰っている。私的に利用しているんじゃないか」‐。そんな匿名の情報が特命取材班に寄せられた。調べてみると、過疎や人手不足を背景に、子どもたちの通学手段を確保する上での悩ましい現状が浮かび上がった。 

 八女市は、人口減による統廃合を受け、学校と自宅の距離が離れている旧町村部在住の小学生向けに、無料のスクールバスを走らせている。現在、市から委託を受けた3業者が7校で計27路線を運行。車両は市の所有で、いずれも市有地にある車庫に駐車するよう、業者と取り決めている。

 取材班は5月下旬~6月上旬、バスの自宅への持ち帰りが指摘された地域で取材した。すると「スクールバス」「八女市」のマークを付けた車両が、平日の昼間に集落の道路脇に駐車されているのを複数回、確認した。住民の一人は「なぜ、こんなところにスクールバスが止まっているのか、ずっと不思議に思っていた」と語る。

 このバスを運行する委託業者に話を聞くと、男性代表は運転手5人が不適切な車両管理をしていたことを認めた。朝夕の登下校の間の昼間に、4人がバスを自宅に持ち帰り、1人が業者の事務所に駐車していた。5年ほど前から続いていたという。

 その理由について男性代表は、市に指定された車庫が、小学校から約8キロ離れていることを挙げた。5人の自宅はいずれも学校の近隣地域にあり、「自宅などに持ち帰った方が距離が近く、時間もかからない。人件費や燃料費を抑えられるので会社としても容認していた。企業努力の一環とも考えていたが、甘えがあったのかもしれない」と釈明。私的利用については「車両が目立つため、できない」と否定した。

 市によると、この車庫はもともと別の小学校のスクールバス用だったが、同校の閉校後は、統合先の小学校に児童を送迎するバスの車庫として活用されるようになった経緯がある。

 取材班からの指摘を受け、市は業者に「盗難や損壊の恐れなど、車両の管理上、問題がある。市民に私的利用の誤解を与える恐れもある」として、今後は指定の車庫に駐車するよう口頭で指導。6月中旬には改善されたとしている。

 ただ、市によると、人手不足などからスクールバス運転手の確保は難しいのが現状で、市内の運転手の多くが60歳以上という。朝夕の1日2回、自宅から遠い車庫まで通うのは体力的にも厳しい。厳格な運用が、結果的に人材確保のハードルをより高めてしまう懸念もある。

 こうした事態に市は「小学校近くに車庫を確保できるよう検討したい」としているが、実現は来年度以降になりそうだ。

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