【特派員オンライン】慶州ナザレ園のいま

西日本新聞 国際面

 韓国の釜山日本人学校の子どもたちと一緒に、慶州市にある在韓日本人妻の福祉施設「慶州ナザレ園」を訪れた。開設から半世紀近く。太平洋戦争前後に朝鮮半島出身の男性と結婚して海を渡った後、身寄りを失うなどした9人が静かに暮らしている。平均年齢は95歳。認知症や寝たきりの人も多い。35年以上、入所者に寄り添ってきた宋美虎(ソン・ミホ)園長は「苦労した分、残りの人生は楽しく暮らしてほしい」と温かく見守る。

 交流会に参加した入所者は3人だけだったが、小学1年~中学3年の34人と一緒に歌ったり、手遊びをしたりして触れ合った。入所者の一人、石川サワさん(94)に入所時期を尋ねると「覚えていない」。宋園長によると高齢で記憶が曖昧になった人が多く、一から詳しい話を聞くのは困難だという。交流会の最後、子どもたちが唱歌「ふるさと」を歌うと、石川さんはマイクを握り、しっかりした声で一緒に歌い始めた。歌詞を間違えずに歌い終えた石川さんは「いくつになってもコヒャン(故郷)の歌はいいですね。これからも元気でいたい」とうれしそうに目を細めた。彼女たちの穏やかな余生を願ってやまない。 (釜山・前田 絵)

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