【政治考】選挙念頭審議おざなり 通常国会閉幕

西日本新聞 総合面

 緊張感に乏しい‐。延長することなく、26日に幕を閉じた第198通常国会の印象だ。政府が新規に提出した57法案のうち約95%に当たる54法案が成立したが、議論は低調だった。そもそも政府は参院選を控え、与野党で対立する法案は提出せず「安全運転」に終始。野党は終盤、老後資金2千万円問題など国民生活に直結する問題が噴出して勢いづいたが、政府、与党が吹かせた「解散風」に翻弄(ほんろう)されて追及不足に終わった。与野党ともいかに選挙で有利になるかを優先して行動し、国会審議がおざなりになった感が否めない。

 論戦が低調だった一因は、衆参の予算委員会が4月以降、開かれなかったことにある。予算委は予算をはじめ、あらゆるテーマを取り上げて議論する与野党攻防の舞台だ。

 野党は予算成立後、老後資金問題などが浮上するたびに、予算委での首相出席の集中審議を求めた。与党は「予算委は予算を審議する場だ」として最後まで応じなかった。

 参院選目前に、首相や閣僚が野党の追及にさらされる場面をなくし、野党を勢いづかせないようするのが狙いだ。

 ただ、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画を巡る防衛省の調査ミスや北方領土を含むロシアとの平和条約締結交渉への姿勢、北朝鮮問題など議論を深めるべき課題は山積していた。

 一方、衆院選での協力態勢など選挙準備が遅れていた野党は、解散風にふらついた。本来、予算委の開催を求めて全ての委員会で審議拒否に入るなど、与党に真っ向から対抗することもできたはずだが、衆院解散をちらつかされて、腰砕けになった。

 結果的に国会審議は与党の思惑通りに進み、特に後半国会は空虚な日程の「消化試合」になった。取材をしていてもむなしさが募った。議論が深まらないまま参院選に突入しても、有権者が1票の権利を行使する判断材料には乏しい。参院選では実のある政策論議を期待したい。

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