通常国会閉幕 「言論の府」の劣化を憂う

西日本新聞 オピニオン面

 耳を疑うような失言や放言が相次ぎ、国会議員の資質が問われた国会だった。

 議論すべきテーマに正面から向き合おうとしない「国権の最高機関」(憲法41条)の在り方が問われる国会でもあった。

 通常国会がきのう閉幕した。事実上、参院選の号砲が鳴った格好だが、その前にこの国会を振り返っておく必要がある。率直に言えば憲政史に汚点を残した国会とさえ思えるからだ。

 「統計不正」で幕を開け、「年金不信」で幕を閉じる形となったのが象徴的である。いずれも現在進行形の問題である。

 厚生労働省の毎月勤労統計に端を発した統計不正は、政府が公表する数値の信頼性を根底から揺るがす問題だ。調査方法の変更やデータ補正が長年、秘密裏に行われ、2度の政権交代をはさんでも見破られなかった。

 厚労省の特別監察委員会による検証は統計担当者が対外的にうその説明をしているのに「隠蔽(いんぺい)の意図までは確認できなかった」というお粗末さで、かえって国民の不信を増幅させた。

 ここは国会の出番だったはずだ。ところが、参考人招致を巡って与党が難色を示すなど、立法府が与野党の別なく行政府の責任を追及する姿勢に欠けた。野党の力量不足も否めず、尻すぼみになってしまった。

 国会終盤に噴き出した「老後資金2千万円」の問題は、年金に対する国民の高い関心と根強い不信を浮かび上がらせた。

 老後には公的年金以外に2千万円の蓄えが必要-と指摘した金融庁金融審議会の報告書に対し、麻生太郎財務相兼金融担当相は「政府のスタンスとは違う」として受け取りを拒否した。

 野党は森友・加計(かけ)学園問題に連なる安倍晋三政権の「隠蔽体質」と批判している。予算成立以降、野党が再三要求しても衆参両院で予算委員会を開こうとしなかった政府と与党のかたくなな姿勢は確かに疑問だった。

 解散風にあおられて右往左往し、政権側に足元を見透かされた野党の非力も問われよう。

 「総理とか副総理が言えないので私が忖度(そんたく)した」と言い放ち辞任に追い込まれた国土交通副大臣。国会でしどろもどろ答弁を繰り返した揚げ句、震災復興より同僚議員が「大事」と発言して更迭された五輪担当相。極め付きは北方領土を戦争で取り戻すことの是非を元島民に問い詰め、衆院初の糾弾決議を突き付けられた丸山穂高氏だった。

 有権者が選挙で国会議員を選ぶ。ごく当たり前のことが民主主義にとっていかに大切かを知らされた思いがする。「言論の府」が劣化しているとすれば、まず私たちの1票から立て直す必要があろう。

PR

PR

注目のテーマ