米中首脳会談 貿易戦争解決の糸口探れ

西日本新聞 オピニオン面

 大阪市で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席するトランプ米大統領と習近平中国国家主席が、来日を機に会談する見通しになった。

 貿易を巡る米中両国の対立は、互いに高率の関税を掛け合う事態にエスカレートし、今や世界経済最大の懸念材料となっている。その緩和はG20サミットの主要テーマでもある。両トップが膝を突き合わせ、まずは制裁措置と報復の連鎖に終止符を打つ機会とすべきだ。

 昨年12月のブエノスアイレスサミット時に会談した際は、お互いの決断で貿易紛争の一時休戦を図った実績がある。

 この時は、米国が中国からの輸入品約2千億ドル(約21兆4千億円)分の追加関税について、今年1月に予定していた10%から25%への税率引き上げを猶予し、中国は技術移転強制や知的財産権保護などの問題について協議に入ることで合意した。

 その後、両国の話し合いが進み今年2月にも首脳会談がセットされるとの見方もあったが、実現しなかった。国有企業の優遇など中国の体制維持に関わる構造的な通商障壁での対立が原因とみられる。これを受け米国は猶予していた追加関税を5月に実施し、対抗して中国も報復措置に打って出た。

 貿易を巡る米中閣僚級協議は5月初めに中断したままだ。トランプ大統領は追加関税の第4弾を準備しつつ、大阪での会談を呼び掛けた。これに習主席が応じた格好だ。習主席は来日直前、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会った。トランプ大統領との会談を有利に進める仕掛けでもあったのだろう。

 米中の対立は、単なる貿易不均衡問題ではない。民主主義や自由主義に対する一党独裁の国家主義といった政治体制の違い、政治、経済、軍事面で世界に君臨してきた米国と、急速に影響力を強めている中国との覇権争いの側面もある。それ故、容易に歩み寄れる状況にはないが、協議を再開して対話で解決の糸口を探るのは、大国のリーダーの責務だ。

 日本はG20サミット議長国としてホスト役の安倍晋三首相が、米中首脳会談に先立ち中国、米国とそれぞれ首脳会談を行う。世界経済の持続的発展のために意見交換する予定だ。当然、それを妨げる最大の下方リスク、米中貿易戦争についての議論は避けて通れない。

 政府関係者は「米中の2国間問題で橋渡し役を務めるのはなかなか難しい」と予防線を張る。安倍首相とトランプ大統領の緊密な関係や、正常化しつつある日中関係を踏まえ、緊張緩和のために日本にできることはないか。知恵を絞ってほしい。

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