【裁判員制度10年(3)】重い負担 6割超が辞退 経験共有へ「守秘義務」の壁も

西日本新聞

福岡地裁が開いた裁判員経験者との意見交換会(代表撮影)=2018年9月、福岡市 拡大

福岡地裁が開いた裁判員経験者との意見交換会(代表撮影)=2018年9月、福岡市

裁判員経験者らによる交流会「インカフェ九州」。守秘義務の範囲については「分かりにくい」との声が多かった=2019年5月、福岡市 九州大の土井政和名誉教授

 刑事裁判に市民の視点を取り入れる「裁判員制度」が導入されて5月で10年を迎えた。裁判員に選ばれた人々は殺人などの重大事件に向き合い、悩み抜いて有罪・無罪を判断してきた。しかし辞退率は年々上昇。「守秘義務」の分かりづらさや、経験を社会に還元する難しさも指摘されている。制度の課題を追った。

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 裁判員に選任されたことを告げた女性(41)に、勤務先の上司は冷ややかだった。「裁判に出席するなら会社は休み扱い。有給休暇も認められない」

 当時勤めていたのは、福岡県内にある正社員約50人の中小企業。この女性が1人で給与計算や社会保険の手続きを担当していた。

 職場に迷惑をかけて申し訳ないとも思ったが「遠い存在だった司法を身近に感じてみたい」と参加を決めた。渋る上司には「有給休暇は自由に使えるはず」と訴え、何とか理解を得た。

 福岡地裁で2016年にあった殺人事件の審理期間(初公判から判決まで)は40日。週末は職場でたまった仕事をこなした。

 女性は「慣れないことばかりだったが、自分の意見も言うことができた。よい経験になった」と話し、こう付け加えた。「働く人が参加しやすい仕組みを整えてほしい。誰もが参加できてこそ、司法に多様な意見が反映されると思う」
 

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