【裁判員制度10年(3)】重い負担 6割超が辞退 経験共有へ「守秘義務」の壁も (2ページ目)

 裁判員は20歳以上の市民から無作為に選ばれる。辞退するには「70歳以上」「重い病気やけが」などの理由が必要だ。ただ、辞退率は制度が始まった09年の53・1%から上昇し、昨年は過去最多の67%だった。

 辞退が増える理由の一つに送り出す側の問題がある。民間調査機関「労務行政研究所」(東京)は昨年、7739社に裁判員休暇制度があるか調査。回答した440社のうち「ある」は56%、従業員300人未満では41%にとどまった。

 裁判員裁判の平均審理期間は昨年は10・8日、最長では207日。九州のある信用組合の幹部はこう話す。「うちみたいな中小で職員が長期間休んだら業務に支障が出る。休暇制度を作る余裕はない」

 一方で、最高裁が昨年行った裁判員へのアンケートでは「非常によい経験」「よい経験」との回答が96・7%に上った。経験者の評価は高いのに増える辞退者-。市民団体「裁判員ネット」(東京)代表の大城聡弁護士は「市民参加の制度なのに10年たっても環境が整っていない。社会の中で制度が孤立しているのではないか」と懸念する。

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 最高裁が5月15日に発表した総括報告書は、辞退率上昇の背景として、国民の関心の低下も挙げた。

 制度開始前、裁判所トップが街頭でチラシを配り、企業に休暇制度の導入を要請した。だが、啓発活動は下火になり、市民が裁判員に関する情報に触れる機会はほとんどなくなった。福岡商工会議所の担当者も「ここ数年、裁判所からの協力要請はない」と話す。

 「何をやるのか分からず不安だった。事前に情報があれば、裁判員に選ばれても『すっ』と入っていけたのに」。福岡地裁で裁判員を経験した60代の男性はこう話した。

 甲南大の笹倉香奈教授(刑事訴訟法)は「司法に市民の目が入り、閉鎖的だった刑事裁判に風穴があいた。課題もあるが、法教育などを通じて制度を周知し、検証を続けることが根付きにつながるはず」と話す。
 

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