「有田焼の新しい形創造」 東京五輪エンブレム作者・野老さん

西日本新聞 佐賀版

 2020年の東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムをデザインした美術家の野老(ところ)朝雄さんの作品展[有田×野老]展が今秋、有田町戸杓の九州陶磁文化館で開かれる。野老さんが今月、同町を訪れ、新しい有田焼の形を創造した。

 野老さんは1969年、東京に生まれた。建築家の父と内装デザイナーの母のもとで育ち、東京造形大学デザイン学科を卒業。建築から美術まで分野の垣根を越えた表現活動で注目を集め、ビルの外装デザインや野外彫刻作品、グラフィックアートなど多数の作品がある。

 東京五輪のエンブレムは、日本の伝統紋と色彩を取り入れた「組市松紋」。連続してつながり、多様に展開する文様表現がライフワークだ。これまで徳島県の藍染めなど伝統産業とのコラボ事業も手がけている。

 秋の有田展のきっかけは同町の李荘窯業所との縁。2016年からインターネット上のレストラン人気投票の副賞として有田焼の皿を共同製作し、九陶での展示企画に発展した。

 有田焼の呉須(下絵の顔料)の青色に焦点をあて、自らデザインした作品を展示し、古伊万里や有田焼を生む地層などを解説する。伝統と革新の両面から有田焼像を再構築するつもりだ。

 今回の有田滞在中には、李荘窯業所で新作を試作。ろくろの遠心力と呉須の飛散を利用した絵付けを試みた。「単体の『個』とグループの『群』、ルールや制約を意味する『律』という思考を繰り返しながら、『つなぐ』『つながる』文様のための技法を作り出してみたい」と言う。

 寺内信二社長は「近年の有田焼は、工程に手をかけないシンプルな物作りに向かっていたが、本来、有田焼は描き込む工芸。文様の考え方をひもといてもらうことは、産地にとって絵付けを見つめ直すきっかけにもなる」と応じた。

 展示は9月20日~11月24日。展示プロデューサーとして東京大総合研究博物館特任教授の洪恒夫さんが参加する。観覧料は大人600円、大学生300円、高校生以下は無料。

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