「中道」対「左派」深まる路線対立 民主党、初の候補者討論会

西日本新聞 国際面

 米民主党の大統領候補選出に向けた論戦が26日、本格的にスタートした。候補者たちは混迷続きのトランプ大統領の資質や政権運営を問い、「打倒トランプ」で一致する。ただ、政策を巡っては党主流派が掲げてきた中道・穏健路線に加え、「大きな政府」に通じる左派・革新への転換を求める勢力が台頭。支持者からは「党内対立の激化はトランプ氏を利するだけだ」との懸念が尽きない。

 10人の候補者が登場した討論会初日。各候補はこぞってトランプ氏批判を繰り広げたが、同時に「民主党は労働者のための存在であるべきだ」などと強調。弱者に寄り添っていないと指摘される党の現状に苦言を呈する声も上がった。

 発言の背景には、トランプ氏が大企業を利する規制緩和などに積極的との指摘がある一方で、格差拡大に苦しむ地方の労働者など低中所得層を意識して、家計負担の軽減策を実行した結果、一定の評価を得ているという現実がある。

 この日、壇上に立った中西部出身のクロブシャー上院議員は、若者らが多額の借金を抱える学費ローンの公的支援策などを主張した。サンダース上院議員は巨額の公費支出が必要となる学費ローン対策を掲げ、働いて収入を得る生産年齢層に毎月10万円以上を支給する所得保障を公約に掲げる候補もいる。

 国民皆保険制度の導入などを含め、政府が大きな役割を担う革新的な政策には「ポピュリズム」「財源無視のばらまき」といった批判も上がるが、注目度は高く、左派の代表格ウォーレン上院議員は着実に支持率を伸ばしている。

 こうした中、中道・穏健路線を掲げるバイデン前副大統領は、現時点で支持率トップだが、政策の左傾化を強める他の候補者の動きを無視できず、人工妊娠中絶や地球温暖化を巡って、従来より革新色の濃い対策を打ち出した。

 しかし、バイデン氏の方針転換を一部の民主党候補が批判し、政策の路線を巡る対立が先鋭化する動きも出始めている。オバマ前大統領のような傑出したリーダーが現状では見当たらないだけに、党支持者からは「候補者同士がつぶし合うような状況が長期化しなければいいが…」(ワシントン近郊の女性)と不安の声が漏れる。

 一方、トランプ氏は左派色を強める民主党を「資本主義の米国を社会主義にしようとしている」と批判。社会主義に嫌悪感の強い国民性を踏まえ、危機を呼び掛ける主張は保守層に響き、トランプ氏支持の南部州の女性は「社会主義になんて絶対にさせてはならない」と反発を強めている。 (ワシントン田中伸幸)

PR

PR

注目のテーマ