朝倉市生活支援相談員、悩む被災者に寄り添う 地道に見回り声掛け

西日本新聞 社会面

 2017年7月の九州豪雨から間もなく2年。福岡県朝倉市では、市地域支え合いセンターの生活支援相談員が被災者のもとに足しげく通い、見回りや声掛けを続けてきた。孫自慢から梨畑の様子、慣れない生活への不安など、さまざまな声に耳を傾ける。仮設住宅の退去期限である2年が迫る中、抱える悩みも変わってきた。オレンジ色のベスト姿の相談員は、家族のように、友人のように被災者に寄り添っている。

 甚大な被害があった同市黒川の梨畑。強い日差しの中、町田弘さん(75)と都さん(72)が相談員の末益伊津子さん(64)を迎えた。「梨はもう落ち着いたの?」「もう紙で包んだけぇ」。黒川の自宅は全壊し、長期避難地域に。ここから車で約30分かかる仮設に住むが、相談員とはいつも梨畑で会う。「仮設だと話しきれんけぇ、こっちまで来てもろうてる」と都さん。9月には市内の別地区に移る。「年がいっとるやん、それが心配なん」と不安を漏らす2人に「まだ若い方よ。同じ地域に移った人もいるし」と末益さんが応じた。「また来てね」。2人は、末益さんの車が見えなくなるまで見送った。

 同市杷木志波の自宅が全壊した日野カヲルさん(81)は、同県うきは市でみなし仮設のアパートに暮らす。地元での自宅再建へ準備を進めるが、朝倉市が作った書類の見方が分からず困っていた。相談員の高倉裕紀さん(51)が「役所に聞こう」と、すぐに電話で確認してくれた。

 1年前は仮設の暮らしや義援金などの相談が多かったが、最近は仮設を出た後の生活への不安が目立つ。

 社会福祉協議会が運営するセンターが活動を始めたのは昨年2月。市内外の被災者宅を8人の相談員が地道に訪ねる。当初は「話すことはない」と門前払いも受けた。相談員の多くも被災し、仮住まいを続ける人もいる。何度も通い、顔を合わせて悩みに向き合ってきた。高倉保之センター長(67)は「私たちの仕事は『つなぐこと』。新しい地域に移っても、その地域に慣れるまではまた行く。近くに来たら寄らせてもらう。それが続くと、支え合いになっていく」と話した。

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