諫干開門 最高裁認めず 初判断、判決確定 漁業者側の上告棄却

西日本新聞 一面

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の影響で漁業被害が生じたとして、漁業者が国に潮受け堤防排水門を開くよう求めるなどした2件の訴訟で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は漁業者側の上告を退ける決定をした。開門の是非に関する最高裁の判断は初めて。具体的な理由は示していないが、「非開門」の判断が確定した。訴訟が乱立し、割れていた同事業を巡る司法判断が事実上、開門しない方向で収束する可能性がある。

 決定は26日付。裁判官4人全員一致の結論。

 事業を巡っては、開門を求める漁業者側と、農業被害を懸念して開門に反対する営農者側がそれぞれ、国を相手取った訴訟を次々に提起。開門を命じる福岡高裁判決が2010年に確定した一方、長崎地裁が13年に開門を差し止める仮処分決定を出した。

 最高裁が上告を退けた2件のうち、漁業者が開門を求めた訴訟は、一審長崎地裁が11年6月に訴えを棄却。15年9月の二審福岡高裁判決も支持し、漁業者が上告していた。

 もう1件は、営農者側が開門差し止めを求めた訴訟。仮処分決定に続いて17年4月の長崎地裁判決が訴えを認め、国は控訴しなかった。

 これに対し、開門禁止の司法判断が確定するのを防ぐため、漁業者側は訴訟の当事者となって控訴しようと考え、「独立当事者参加」を申し立てた。福岡高裁は昨年3月、訴えを退け漁業者が上告していた。今回の決定で17年4月の長崎地裁判決が確定した。

 これとは別に、排水門の開門を命じた確定判決に従わない国が、漁業者に開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟の上告審では、同じ第2小法廷が今年7月に弁論を開く。開門命令を事実上無効とした18年7月の二審福岡高裁判決について、判断が注目される。

■極めて重大な意義

 開門に反対する営農者側弁護団のコメント 最高裁決定は「開門を行わずに問題を解決すべきである」という立場を明らかにした内容で極めて重大な意義を持つ。この強いメッセージを国や開門派にも重く受け止めてもらい、開門しない形で抜本的解決を強く望む。

■開門あきらめない

 開門を求める漁業者側弁護団のコメント 屈服はしない。不利な司法判断が相次いでも、開門は決してあきらめないと繰り返し述べてきたとおりだ。国に開門を命じた確定判決は揺らがない。最高裁で7月に弁論が開かれる請求異議訴訟でも主張を貫いていく。

■基金による和解を

 吉川貴盛農相のコメント 農林水産省としては引き続き「開門によらない基金による和解を目指すことが問題解決の最良の方策」との方針の下、諫早湾干拓事業を巡る一連の訴訟について、関係省庁と連携して適切に対応していく。

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