難病乗り越え10年ぶり個展 絵描きchicaさん 9月、豊前市で

西日本新聞 北九州版

 進行性の難病で活動を休止していた京築地域に住む絵描き、chicaさん(37)が約10年ぶりに個展を開く。病気でできないことが増え、ふさぎ込んでいたものの、双子のお弁当づくりをきっかけに前向きになったという。chicaさんは「一歩踏み出したい人、何か実現させたい人、自分に向き合う人にも、勇気となる個展にしたい」と話している。

写真エッセーが本に

 chicaさんは神奈川県出身。2002年に母親を亡くしたことを契機に、優しいハートマークのような「ハートちゃん」などの絵を描き始め、5千点以上の原画を手から手へと届けてきた。09年に双子を出産後、肺などに小さな穴が生じる100万人に数人という難病、リンパ脈管筋腫症(LAM)に罹患(りかん)していたことが判明。翌10年の個展を最後に絵描きの活動をやめた。

 その後、夫の転勤で京築地域に移り住み、食物アレルギーがある双子のため、小学校に弁当を持たせるようになった。日々のお弁当づくりを通じて前向きに歩むことができることに気付き、写真共有アプリのインスタグラムにその思いを写真エッセーとして載せたところ話題に。17年に電子書籍化され、昨年7月には書籍化された。タイトルは「ふたごべん‐おべんとうづくりから気付いた、生きるということ‐」だ。

 16年には父親を亡くし喪失感に襲われたが、大切な人を亡くした人などの悲しみを癒やす「グリーフケア」の資格を取得し、17年から絵描きの活動を再開。本には「人生最大の悲しみや挫折から、人生の宝物が生まれ、出会いの数々が生きる喜びをくれた」との心情を書いた。

大幅に上回る目標額

 この思いを多くの人に伝えようと、個展を企画。今年3月、クラウドファンディングを呼びかけたところ、50万円の目標額を大きく上回る67万円余が集まり、7月19~21日、かつての活動拠点だった相模原市での開催が決まった。個展名は「みえるものとみえないもの」。9月下旬には豊前市立図書館でも個展を開くことになった。

 chicaさんは「生きてることはとても尊い。時には、立ちはだかる壁にぶつかってしまう夜もあるけど、きっと輝く一等星に出会えるのはそんな瞬間。真っ暗だからこそはっきり分かる」と話す。

 現在、病気により肺機能は「95歳以上」に低下した。それでも「いろいろなことができなくなっても描けることだけは残ってくれた。そのことに感謝してたくさんのエネルギーを込め、大きな作品に挑戦した」との思いで個展に臨む。

 「絵描きchica」のホームページ=https://ichinica.com/

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