単身高齢者や低所得者支援 空き家活用の全国組織発足

西日本新聞 社会面

 空き家を単身高齢者や低所得者の住まいとして活用する国の「住宅セーフティーネット制度」の下、各地で入居者の生活を支える「居住支援法人」の全国組織が29日、東京で開かれる会合で発足する。同法人は制度の核となる存在で、家賃滞納や孤立死の懸念などから敬遠されがちな人も入居できるよう、日常的な見守りや就労支援を行う。全国組織は課題や成功事例など情報を共有し、支援体制を強化することが狙い。空き家に悩む不動産業界からも期待の声が上がる。

 名称は「全国居住支援法人協議会」。代表呼び掛け人は、NPO法人抱樸(ほうぼく)(北九州市)奥田知志理事長▽賃貸住宅経営者の団体代表として三好不動産(福岡市)の三好修社長▽元厚生労働事務次官の村木厚子さん。全国に約230ある法人のうち100以上が参加を表明しており、今後も増える見込みという。NPO法人、不動産会社、介護関連会社などさまざまな団体があり、研修を通してノウハウを学び合う。現場の声を反映させるため、政府や自治体に提言もしていく。

 背景には2017年に始まった同制度が停滞している現状がある。空き家は入居を断らない「登録住宅」として提供してもらうが、登録住宅は約9千戸と国の目標17万5千戸(20年度末)に遠く及ばず、九州では約200戸にとどまる。改修の際に支給される補助金が不十分な点や、補助を受けると住宅確保が難しい人にしか貸せない縛りがあるなど、所有者側のメリットが少ないことが指摘されている。

 こうした課題を受け、抱樸は登録住宅でなくても可能なサブリース(転貸)の仕組みを実施。約40室を所有者から借り、希望者に貸している。入居者は家賃(月2万9千円)に生活支援費(月約2千円)を上乗せして支払い、支援スタッフの人件費に充てられる。

 この物件を所有する田園興産(北九州市)の田園直樹社長は「居住支援法人が間に入ることで、トラブル減少などが期待でき、安心して貸せる。空き室で悩むオーナーには魅力的な選択肢になる」と力を込める。この取り組みは注目されており、こうしたモデルを全国組織で共有していく。

 抱樸の奥田理事長は「外国人の支援に強い、高齢者福祉を長くやっているなどお互いの得意分野を学び合い、住まいと暮らしを一体的に支える仕組みをつくりたい」と抱負を語る。

【ワードBOX】住宅セーフティーネット制度

 高齢者や低所得者、障害者など住宅の確保が難しい人の賃貸住宅として空き家を活用する制度。10年以上専用住宅とするなど条件を満たせば、改修費の補助(最大200万円)が受けられる。居住支援法人は都道府県が指定し、入居者の生活支援を担う。活動に応じて年1千万円を上限に補助がある。

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