【小児がん 母と娘の闘病日記】(15)娘から 友との別れ、死が身近に

西日本新聞 医療面

 私が人生で初めてお葬式に行ったのは、1人の仲間が旅立った時でした。入院している間に一番よく遊んだSちゃんとのお別れでした。

 朝から激しい雨が降り、雷が大きな音を立てていました。もっと生きたかっただろう彼女の悲しみを表しているようでつらくなり、涙が止まらなくなったことを覚えています。「こんなことになるなんて思ってなかった」という彼女の高校の友人の嘆きが、胸に強く突き刺さりました。

 Sちゃんは入院当初は大変そうだったけど、しばらくたつと院内学級に一緒に通えるようになりました。私の退院後も、通院などで病院に来るたびに会っていました。転移したという知らせを聞いた時は「しばらく会えないな」と残念に思ったものの、すぐに「Sちゃんなら絶対また元気になる」と信じていました。

 最期の別れの日。すぐに悲しみが襲ってくるわけではなく、ただ「もう痛いことも、苦しいこともないね」とだけ思いました。彼女が残してくれた物が、私の手元にもたくさんあります。一つが、私のかばんに付けているストラップ。絵の得意な彼女が描いた2枚のイラストで作りました。これを通して、Sちゃんがこの世界を見てくれていると信じて、毎日持ち歩いています。

 たまに一人になったとき、私は言い表すことのできないような、不安な気持ちになることがあります。病気になったことで、同世代の他の人より死を身近に考えることが多くなったからかもしれません。そう思うと、少しだけ病気を恨みたくなります。

 それでも、Sちゃんがこの世を去ったことを母が伝えてくれていなかったら、今自分が生きていることのありがたさを忘れてしまっていただろうし、たくさん後悔もしたと思います。わが子の気持ちを思いやって、仲間の死を伝えられない親も多いようです。でも、私の周りには、本当のことを知りたいと思っている友達や先輩がたくさんいます。

(山本芙優=北九州市立大3年)

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