G20サミット閉幕 最大リスクに対処できず

西日本新聞 オピニオン面

 そうそうたる世界のリーダーたちが顔をそろえたのに、世界経済が直面する最大のリスクに対処することはできなかった。

 28、29日に大阪市で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を総括すると、こういう結論になる。世界経済をけん引する米国と中国の対立解消に向け、G20として何ら有効な手だてを見いだせなかった。

 世界の国内総生産(GDP)の8割以上を占める国や地域のリーダーと国際機関の代表が一堂に会し、世界経済の課題について話し合った。ホスト役の安倍晋三首相は「多くの分野でG20諸国の強い意志を世界に発信することができた」と日本初開催の会議の成果を強調した。

 巨大IT企業を念頭に「デジタル課税」に関する作業計画を承認し、海洋プラスチックごみ対策に取り組むことで合意した。デジタル経済に関してデータ流通や電子商取引の国際的ルールづくりの加速や、世界貿易機関(WTO)の改革後押しなどでも一致した。

 しかし、「世界経済を巡る主要協議の場」と位置付けられるG20サミットの存在意義に照らせば、物足りない成果だ。2008年11月に創設された時から保護主義への対抗姿勢を鮮明にしてきたのに、首脳宣言には「保護主義と闘う」の文言が昨年に続き、見られなかった。貿易不均衡是正を唱え関税引き上げなど保護主義的な通商政策を取る米国に配慮し、宣言への書き込みを早々と断念したからだ。

 世界1位と2位の経済大国が貿易を巡り制裁措置と報復の応酬を繰り広げ、世界経済の先行きに不透明感が強まっている。最大のテーマだった米中の対立状態について多くの首脳から懸念が表明されはしたが、それ以上は踏み込めなかった。

 会議の合間に、トランプ米大統領と習近平中国国家主席が個別に会談し、貿易協議の再開で合意した。制裁と報復の連鎖は、ひとまずストップした。とりあえずの朗報ではあるが、他のG20メンバーは、世界のGDPの4割を占める両大国の協議を見守るしかなかった。

 G20は世界経済の緊急時に政策協調をアピールするために創設された。アジア通貨危機後に財務相・中央銀行総裁の会議が始まり、リーマン・ショックを受け、首脳会議が開かれるようになって14回を数える。

 メンバーは先進国、途上国、資源国と幅広く、平時に足並みをそろえるのは確かに難しい。ただ、米中対立だけでなく、英国の欧州連合(EU)離脱問題や中東情勢など世界経済のリスク要因は多い。G20の原点を再確認し、有事協調の枠組みを維持していくことが重要だ。

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