日中首脳会談 「永遠の隣国」と認識して

西日本新聞 オピニオン面

 中国の習近平国家主席が20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)出席のために来日し、安倍晋三首相と会談した。中国主席の訪日は、2010年に横浜で開かれた国際会議に胡錦濤前主席が出席して以来、9年ぶりのことだ。

 安倍首相は習主席に国賓として来年春の訪日を要請し、習主席は謝意を表明して「いいアイデアだ」と同意した。安倍首相は「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」と語り、習主席も「新しい時代にふさわしい関係をつくりたい」と応じた。

 日本側の説明では、両首脳は日中を「永遠の隣国」と位置付けたという。時間はかかったものの、沖縄県・尖閣諸島の国有化をきっかけに悪化していた両国関係が安定し、建設的な方向に向かうことは歓迎できる。

 ただし、中国が日本に歩み寄った背景には、中国と米国との関係悪化が強く影響している。

 中国はこのところ、対中貿易赤字を問題視し中国製品への関税を強化するトランプ米政権とせめぎ合いを演じている。先端技術開発を巡っても、両国の主導権争いは激化する一方だ。

 こうした状況下、米国による圧力をかわすため、中国が「対米けん制」を狙って日本に接近する力学が働いた。

 日本側も、最大の貿易相手国である中国との関係が不安定なのは都合が悪く、対北朝鮮政策でも中国の協力が不可欠であるため、関係改善に向かう必要があった。米国の保護主義に対抗し、自由貿易の原則を守るのは日中共通の利益でもある。

 しかし、短期的には米中対立の副産物として日中関係が改善に向かうにしても、このまま米中の覇権争いが深刻化すればするほど、米国の同盟国である日本が中国に対しどのようなスタンスを取るかは難しくなる。

 日本としては、米中関係がかつての米ソ冷戦のような状態に陥らないよう、仲介役として何ができるか模索すべきである。米国と中国の双方に最も大きな利害関係を有する国は日本だ。

 また、軍事力を背景に海洋進出を続け、国内では民主化活動を弾圧する中国と、日本がどこまで信頼関係を築けるのかも不透明だ。今回は両首脳が関係改善ぶりを演出したものの、中国は最近も相変わらず公船を尖閣諸島周辺で活動させている。

 「永遠の隣国」という言葉は美しいが、今後も両国間でさまざまな確執が生じるだろう。首脳や高官レベルの対話を重ね、少々の摩擦があっても関係全体を揺るがさない「耐震補強」のような作業が求められる。相手がどれだけ重要な隣人か、お互いに謙虚に認識することが再スタートの出発点となるだろう。

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