被災地支援 プロが橋渡し 消防士や防災士、ボランティアに

西日本新聞 夕刊

 災害発生時、被災地でいち早く活動する救援リーダーを育成し、公的機関や民間支援者との連絡調整などに取り組む一般社団法人「日本レスキューボランティアセンター」(東京、JRVC)。同センターに所属し、九州を拠点に活動する二つの組織がある。2017年の九州豪雨と、昨夏の西日本豪雨をきっかけに発足した。公的機関では手が届かない被災現場などでの対応をカバーする民間の動きとして注目されている。

 組織は、九州豪雨で甚大な被害が出た福岡県朝倉市に特化した「JRVC『朝倉』チーム螢火(ほたるび)」と、西日本豪雨を契機にチーム螢火のメンバーがさらに広域、専門的に活動するために発足した「JRVC九州」。

 膨大な流木や土砂が住宅に流れ込んだ九州豪雨直後の朝倉市黒川地区。同県うきは市の消防署員岩佐憲一郎さん(49)と、同県豊前市の防災士伊藤浩樹さん(46)らは重機で流木を短く切断する作業に取り組み、行政が処理してくれる公道まで流木を運んだ。

 2人はそれぞれ個人的に活動していたが、消防士や救急救命士らプロが技術や経験を生かしてボランティアに取り組む「プロボノ」活動を重視するJRVCの姿勢に賛同。岩佐さんはチーム螢火の代表に、伊藤さんは西日本豪雨後にJRVC九州の代表になった。

 現在、チーム螢火のメンバーは朝倉市民や同市出身の同県春日市民など約20人。JRVC九州は福岡県を中心に山口県や広島県などの消防士、看護師、防災士ら10人で構成し、チーム螢火にも属する。

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 災害が起きた場合、被災地に災害ボランティアセンター(VC)が設置され、他地域から駆け付けたボランティアに仕事を割り振る。社会福祉協議会や自治体の職員が運営に当たるが、JRVCはその点に課題があると考えている。

 地元の民生委員や消防団員の多くは、自らが被災者でもある。VCには他地域からの応援組も多く、細かな地域事情の把握は難しい上、ボランティアの管理経験がない人もいる。

 一方、駆け付けたボランティアも、事前に保険に未加入の場合、手続きが必要なためすぐに活動できない。午後まで待たされ、短時間の活動後、不満げな表情で帰る人も少なくない。

 こうした課題を解消するには「ボランティアの消防士など他地域から被災地入りするプロの存在は不可欠。そして、地元住民の人脈を生かすことが重要だ」と伊藤さんは指摘する。

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 チーム螢火は、朝倉市で復興に向けた畑の整備やイベントなどを通じて被災者に寄り添う。JRVC九州は西日本豪雨に際し、広島県や愛媛県で支援物資提供や清掃に取り組んだ。防災教育にも積極的なJRVC九州は昨年11月、けが人を救急救命士に引き継ぐまでの行動などを学ぶイベントを福岡市で開いた。

 伊藤さんは「人命を守るため、『プロボノ』活動を理解してもらい、プロの会員を増やすと同時に市民と協力していきたい」と力を込める。

 

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