【きょうのテーマ】大自然の驚異 鍾乳洞を探検 平尾台 千仏鍾乳洞(北九州市小倉南区) まるで「石の美術館」 狭い道、譲り合って

西日本新聞 こども面

 北九州市小倉南区に広がる「平尾台」は、約3億年前にサンゴ礁が隆起してできた石灰岩からなる「カルスト台地」です。地下の石灰岩層を雨水が溶かしてできたトンネル状の鍾乳洞も約200あり、観光スポットになっています。平尾台を代表する鍾乳洞の一つ「千仏鍾乳洞」をこども記者が探検し、大自然の驚異に触れました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=大自然の驚異 鍾乳洞を探検


 私たちは靴をサンダルにはき替え、念のためにヘルメットをかぶった。千仏鍾乳洞を管理している古田省三さん(49)の案内で、鍾乳石が並ぶ入り口をくぐった。この日の市内の気温は26度だったが、洞窟内はひんやりしていた。古田さんは「日が差さないので気温は常に約16度。夏は涼しく、冬は暖かいです」と説明した。

 鍾乳石は、天井の石灰岩から溶け出した炭酸カルシウムを含んだしずくが固まってできる。頭上からは「つらら石」が下がり、足元には上に向かって伸びるタケノコ状の「石筍」があった。つらら石と石筍がつながった「天柱」に目を見張った。鍾乳石は1年で0・1ミリほどしか成長しない。10センチの高さになるのに千年かかる。鍾乳洞は太古から流れる時間がつくった「石の美術館」だと思った。

 ■冷たい水の中へ

 500メートルほど歩き、「奥の細道」と名付けられた所にさしかかると足元に水が流れていた。「全国に鍾乳洞はたくさんあるが、水の中を歩けるのはここだけでは」と古田さんは胸を張った。水温は約14度。最初は冷たかったが、だんだん慣れてきた。壁一面に茶色の物質がこびり付いた場所があった。「ここは“蝙蝠城”。頭上にコウモリの巣があり、茶色いのはふんです」。ためしに指に付けて、においをかいでみると無臭だった。

 奥に進むほどに壁は狭まり、天井は低くなった。乳白色のつらら石が輝く場所「初音乳」などでは、つい見とれて危うく頭をぶつけそうになる。「大丈夫?」「気を付けて」とお互いに声を掛けながら歩いた。

 ■地獄トンネル

 この洞窟の奥行きは数千メートルというが、照明があるのは入り口から900メートルの地点まで。「この先は“地獄トンネル”。真っ暗なので普段は立ち入り禁止です」と古田さん。疲れや不安を感じたら引き返すことを条件に、懐中電灯を持って奥へ進んだ。

 高さ60センチほどの岩の隙間を、思いっきり体をかがめくぐり抜けると、勢いよく水が落ちる「第一の滝」があった。懐中電灯を消すと暗闇の世界が広がる。再び明かりをつけて300メートル先の「第三の滝」を目指したが、さらに洞窟は狭まり、全員で回れ右をした。

 “地獄”からの帰路、多くの観光客に出会った。狭い通路を、知らない人同士が励まし合い、道を譲り合って探検を楽しんでいた。心が温かくなり、足元の水の冷たさを忘れた。

 ●「落書き」に怒り

 洞窟内を巡ると、壁のあちこちに学校名や人の名前などを彫り込んだ「落書き」があることに私たちは驚いた。落書きは高さ数メートルの場所にもあり「傷つきやすい鍾乳石に登って彫ったのか」とあきれ、怒りを感じた。

 千仏鍾乳洞は国の天然記念物なので、落書きや鍾乳石を折るようなことは器物損壊や文化財保護法違反などの罪になることもある。古田さんは「一度傷ついた鍾乳石を元に戻すことはできない」と話し、「鍾乳洞は気が遠くなるような年月をかけてできた地球の財産。大事にしてほしい」と力を込めた。落書きの上を伝い落ちる水滴が洞窟の涙のように見えた。

 ●わキャッタ!メモ

 千仏鍾乳洞 北九州市小倉南区平尾台。洞窟の名前は地域にあった寺院「千仏院」(16世紀に戦乱で焼失)にちなむ。1935年に国の天然記念物に指定された。入場料は大人800円、小学生400円など。年中無休。電話=093(451)0368。

PR

PR

注目のテーマ