フランス語の「カニキュール」は「酷暑」という意味だ…

西日本新聞 オピニオン面

 フランス語の「カニキュール」は「酷暑」という意味だ。同国の夏は湿度が低く、気温が上がっても過ごしやすい。特に北海道より北のパリでこの言葉を使う機会は少ない

▼そのフランス南部で先月末、本土では観測史上最高の45・9度を観測した。まさに酷暑である。地球温暖化のせいかどうかは分からないが、「将来、南フランスは熱帯になる」と報じた現地メディアも

▼思い出すのは2003年に同国を襲った熱波。勤務地のパリも8月前半、40度近い酷暑が続き、カニキュールという単語を知った。日本と決定的に違うのは、ほとんどの家に冷房がなかったことだ。クーラーを注文しても数カ月待ち。涼しいショッピングセンターは逃げ込んだ人であふれていた

▼猛暑の影響で約1万5千人が亡くなった。大半は1人暮らしの高齢者という。夏休みの時期と重なり、市民は長期バカンスに出掛けるのが慣習。街に残ったお年寄りが犠牲になった

▼助けを求めても、隣近所は留守ばかり。休暇中の医師や看護師も多く、病院は極端な人手不足に。手当てが遅れ亡くなるケースが相次いだ。家族が不在で連絡が取れず、パリ市はかき集めた保冷車や冷蔵倉庫で大量の遺体を保管する事態になった

▼これを教訓に冷房の普及も進んだと聞くが、03年に匹敵する酷暑ともいわれる今夏は大丈夫か。暴れる気象への備えは万全にしたい。海の向こうだけの話ではない。

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