雲仙・普賢岳災害(1990~96年)の数ある資料の中で

西日本新聞 社会面

 雲仙・普賢岳災害(1990~96年)の数ある資料の中で「平成島原大変 雲仙・普賢岳噴火災害記録集」(長崎県島原市編)と「雲仙・普賢岳噴火災害誌」(長崎県編)の2冊は詳細かつ客観的だ。地元の取材では、事実関係を確認する際のよりどころだ。

 今春、そこに第3のバイブルとも呼べる「雲仙普賢岳噴火回想録」(長崎文献社)が登場した。噴火の観測や行政への助言で中心的役割を果たした九州大名誉教授の太田一也さん(84)が、自身の体験やメモから、どのような状況で誰が何と発言したかを詳細に記述した。「後世の災害で役立てば」との願いを込めた。

 立ち入りを禁止する警戒区域の設定を巡り、当時の高田勇知事と鐘ケ江管一市長が怒鳴り合った密室協議の舞台裏を生々しく描くなど、関係者に配慮して決定事項だけを記した行政本とは一線を画する。臨場感にあふれ、ドキュメンタリーとしても読み応え十分だ。 (真弓一夫)

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