漢字を発明したのは、蒼頡(そうけつ)という古代中国の伝説上の人物とされる…

西日本新聞 オピニオン面

 漢字を発明したのは、蒼頡(そうけつ)という古代中国の伝説上の人物とされる。蒼頡には目が四つあり、鋭い観察力を持っていた。足跡を見ればどんな動物か分かったので、形によって概念を表現し、記録して人々に伝えることができると気付いた。そこから漢字が生まれた

▼古書は、蒼頡が漢字を発明した時、天から穀物が降ってきて、鬼は夜、声を上げて泣いた、と伝える。解釈はいくつかあるが、文字は文明と豊かさをもたらし、鬼は居場所がなくなったと嘆き悲しんだ、とも読める

▼文字や文書は古来、国家や社会の根幹である。だが国政の基本となる公的な文書が、権力者におもねる官吏によって隠され、改ざんされる不祥事が相次ぐ。森友・加計(かけ)学園問題、自衛隊の日報隠し、勤労統計不正…

▼批判を浴びた「老後2千万円」問題では、大臣が審議会の報告書の受け取りを拒んだ。参院選を控え、都合の悪い文書は「なかったこと」にしたいようだ。それがまかり通るのなら、民主政治の土台は揺らぐ

▼官から忖度(そんたく)が降ってきて、民は声を上げて泣く-。真実を記録して人々に伝えるべき文字や文書を、今の政府はないがしろにしていると、蒼頡なら嘆くに違いない

▼参院選はきょう公示。政府の過ちを正すのは国会の役割だ。国政をゆがめる“鬼”の暗躍を許さない鋭い「目」を持った人を、私たちの代表に選びたい。その思いを文字にして投票用紙に刻もう。

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