【きょうのテーマ】料理を彩る 珍しい野菜 久保田農園を取材 福岡県糸島 花を食べたらネギの味 目でも楽しめる料理

西日本新聞 こども面

糸島半島の北側にある久保田農園。写真奥が玄界灘 拡大

糸島半島の北側にある久保田農園。写真奥が玄界灘

ニラの花は薄紫色でかわいい見た目を楽しみ、食べるとニンニクの香りが味わえる。おしゃれな料理に添えるのにぴったりだ 「なでてごらん」と久保田真透さん(右)に言われてスペアミントにふれると、すがすがしい香りが手のひらに付いた ずっしりと重いアーティチョーク。ゆでて食べると、ほくほくした食感とイモのような風味が楽しめるという 久保田真透さんが栽培の研究をしているワイルドストロベリー 久保田農園・地図

 食べられる花やハーブ、西洋野菜など珍しい野菜を栽培している農園が福岡県糸島市にあります。全国の料理人が注目する久保田農園です。料理を華やかにする野菜の数々を、こども記者たちが見て、食べて、取材しました。

【紙面PDF】きょうのテーマ=料理を彩る 珍しい野菜

 久保田農園があるのは福岡市の西側に位置する糸島半島。農園の事務所の屋上からは玄界灘の海が見えた。農園の代表、久保田真透さん(43)が「海からミネラルたっぷりの潮風が吹き、野菜の成長にも良いんですよ」と教えてくれた。

 ハウスに入ると、さわやかなスペアミントの香りが充満していた。葉は直径1、2センチのものから、5センチほどのものまで大きさはさまざま。久保田さんは「大きいのは料理に香りを付け、小さいのはデザートの飾り用です」と説明した。

 ハーブは他にもソースなどに使う酸っぱいオゼイユ、ぴりっと辛くてサラダにも合うセルバチコなど初めて食べる味が多かった。色や形も見たことがないものばかり。鮮やかなピンクの新芽はアマランサスで、アーティチョークというボール形の野菜もあった。

 シブレットという薄紫色の小さな花を食べると、なんとネギの味がした。見た目からは想像がつかない味に驚いていると、久保田さんは「きれいな花やハーブを添えておしゃれに見せるなど、料理は目で楽しめることも大事」と言った。

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 久保田さんの家族は昔、福岡県北野町(現在の久留米市)で米農家をしていた。久保田さんは「私のおじいさんが『これからは野菜作りの時代』と考え、糸島に移った」と話す。冬は畑に霜が降りず、夏も涼しい。野菜作りに合うこの土地で、約50年前に父親が農園を開園。初めは春菊やニンジン、青ジソなどを育てていた。

 ハーブの栽培を始めたのは約30年前。「きっかけは父親が視察に行ったアメリカでハーブに出合ったこと」と久保田さん。ホテルなどで洋食がはやりだした頃で、ハーブも使われると考えたのだ。現在は大分県九重町の畑と合わせ、計約6ヘクタールでハーブや西洋野菜約120種類を作っている。珍しい野菜を安定して提供できるため、全国から注文が寄せられているそうだ。

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 農園の従業員は約90人。トラクターを整備する人、葉を1枚ずつ数えながら収穫する人、野菜を傷つけないように洗っている人もいた。事務所では、注文が表示される画面を見ながらハーブなどをパックに詰める作業が続いていた。お客さんごとに異なる注文を間違えないようにするのが大変だという。毎日約1万1千パックも出荷するというから大忙しだ。

 商品は全国各地や香港にある300以上のホテルやレストランに届けられ、料理人たちが腕をふるう料理を彩っているという。

 ●流行を察知して栽培 料理人がほしがる野菜を研究

 ハーブ作りなど新しいことに挑戦する父親の姿を子どもの頃から見てきた久保田真透さん。21歳の時に農園で働き始め、野菜のはやりを察知しながら常に新しいものを作り続けている。

 久保田さんは「ヨーロッパで料理の勉強をした料理人がほしいと思う野菜を作るには、その野菜について知らないといけない」と話す。海外の料理雑誌を読み、現地のレストランを毎年訪れて野菜の使われ方を学んでいるという。

 珍しい野菜の種などを海外から仕入れると、1~3年ほどかけて栽培の研究をする。商品化を目指して昨年から挑戦しているのが、小指の先ほどの小さなワイルドストロベリー。普段食べるイチゴより酸っぱいが、「最近は『大きくて甘い』だけでなく、『小さくて特徴がある』ものが料理人に喜ばれる」という。

 「お客さんがわくわくするようなものを作り続けたい」と楽しそうに話していた。

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