内水氾濫で命の危険 西日本豪雨1年 久留米で浸水最大1.6メートル

西日本新聞 筑後版

昨年7月6日夜、池町川の水があふれ、車が半分まで漬かった久留米市鳥飼地区(地場企業「フラターテック」提供) 拡大

昨年7月6日夜、池町川の水があふれ、車が半分まで漬かった久留米市鳥飼地区(地場企業「フラターテック」提供)

西日本豪雨での筑後地区の浸水状況

 西日本豪雨で、筑後川の支流沿いを中心に筑後地区の計3325ヘクタールが浸水してから6日で1年となる。広範囲で住宅や事業所が漬かった被害を振り返り、国、県、市が取り組む防災対策の進捗状況を紹介する。主な支流の地区ごとの被害と現状は6日付で詳報する予定。

 西日本豪雨で、筑後川支流の水があふれる「内水氾濫」により約1600棟が床上床下浸水した久留米市で、浸水の深さ(浸水深)が最大1・6メートルに達し、300棟超が1メートルを超えていたことが、県への情報公開請求で明らかになった。内水氾濫は、堤防決壊のような激流と異なり、じわじわと水位が上がるが、深さは命の危険が生じるレベルだったことが分かった。

 久留米市では昨年7月5日の降り始めからの雨量が平年7月の1カ月分を上回り、48時間雨量は観測史上最大の383・5ミリを記録。

 同市や小郡市などを流れる筑後川水系の支流の水位が上がり、流路が長く、川幅も広い本流も遅れて上昇し始めた。

 流量の許容量が少ない支流への逆流による被害拡大を防ぐため、各支流との合流部では6日午後から順次、水門を閉鎖。併せて支流から本流に排水するポンプを順次稼働させたが、追いつかず、はけ口を失った支流が氾濫した。

 県は、被害の詳細を確認するため、浸水した住宅や事業所で痕跡調査や聞き取りを実施。本紙は被害が大きかった金丸川・池町川流域の久留米市鳥飼地区▽下弓削川流域の同市合川地区▽陣屋川流域の同市北野地区▽山ノ井川流域の同市城島・三潴地区、大木町‐に関する資料を入手し、被害状況を分析した。

 それによると、鳥飼地区で7棟が最大1・6メートル漬かった。4地区では成人男性で股下の高さに相当する80センチ超が約620棟、腰高に相当する1メートル超が約320棟だった。各支流の下流部を中心に低い土地に立つ建物に、川からあふれた水が集まったり、はけきれずたまったりしたと考えられる。

 成人男性では、浸水深80センチ程度で安全な避難が困難になるとされ、自動車は30~50センチ程度でエンジンが停止、50センチを超えると車ごと流される危険も生じる。浸水は6日夜から広がり、夜間の避難はいっそう困難だったとみられる。

■避難促す対策強化 浸水軽減策は検討段階

 筑後川と支流を管理する国と県のほか、地元の久留米市は、西日本豪雨での浸水被害を受けて、早期の避難を促す対策の強化に取り組んできた。一方で、浸水被害そのものの軽減策は緒に就いたばかりだ。

 西日本豪雨が発生した当時、越水した中小河川には、避難勧告や避難指示を発表するための基準がなかった。被害が集中した地域では発表前に道路冠水や浸水が始まり、避難に支障が出た。各支流と筑後川の合流部にある水門閉鎖も住民に伝わらなかった。

 市は梅雨を控えた今年5月、簡易型水位計も活用し、中小河川の水位に応じた避難情報の発表基準を新設。市によると、昨夏の豪雨と同程度の雨で、遅くとも道路冠水前に避難情報を発表できるという。水門閉鎖についてもホームページや消防団が広報車で周知する仕組みを設けた。

 一方、豪雨への備えとしては、増水時の水位を下げるため、川底の土砂を取り除く掘削工事や樹木伐採を行い、一部の支流では堤防のかさ上げに予算も計上した。だが、残る支流については、排水ポンプの能力アップや堤防かさ上げ、雨水を一時的にためる遊水地や貯留施設の整備などを検討するにとどまっている。

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