年金不安語らぬ与党 野党、政権批判前面に 改憲論議、訴え乏しく

西日本新聞 社会面

出陣式で「頑張ろう」と気勢を上げる候補者と支援者たち=4日午前9時40分、長崎市 拡大

出陣式で「頑張ろう」と気勢を上げる候補者と支援者たち=4日午前9時40分、長崎市

 4日公示された参院選で、九州の候補者らは各地で第一声を上げた。老後資金2千万円問題を受けた年金制度、消費税率引き上げといった主要争点について、自民候補が言及を避ける一方、野党候補は前面に打ち出し、安倍政権批判を展開。憲法改正については与野党ともに訴えは乏しく、論戦はすれ違い気味だった。

▽年金・消費税

 人生100年時代に対応した年金制度構築を公約に掲げた自民。福岡の自民現職は、10月からの消費税増税に伴い、低所得者向けの年金生活者支援給付金を紹介したが、金融審議会の報告書で指摘した老後資金不足問題には触れなかった。10月からの消費税率引き上げへの言及もなし。「増税への有権者の抵抗は強く、自民にはきつい」。選対幹部は、争点化を避けたい思惑を明かす。

 熊本の自民現職も演説で年金、増税については語らずじまい。佐賀の自民現職も、14分間の演説でひと言も触れなかった。陣営関係者は「年金、増税をいくら説明しても、票が増えるとは思えない」とつぶやく。

 一方、野党側は年金を争点化したい狙い。佐賀の国民民主元職は、報告書を麻生太郎金融担当相が受け取らなかったことを踏まえ、「全て悪いことは選挙後に先延ばし。見せないでこそこそやる。こういう体質の政治を変えるチャンスだ」と気炎を上げた。

 福岡の立憲民主現職も「政府が報告書を受け取らなかったのは、2千万円が『不都合な真実』だからだ。国民をだます政権には一日も早く退陣をしてほしい」と強調。森友・加計(かけ)学園問題など安倍政権下で不祥事が相次いでいることを挙げ、「安倍政治は隠蔽(いんぺい)、改ざん、忖度(そんたく)政治。国政をガラス張りにする」とアピールした。陣営幹部は「有権者の関心が高いのは年金と増税。政権批判の受け皿となるため、分かりやすく訴える」と話す。

 ただ、年金だけでは老後が送れない現実をどう克服するかの将来像は見えない。福岡の共産新人は「減らない、安心できる年金制度の実現へ富裕層の年金保険料を上げて1兆円の財源を生み出す」と党公約を繰り返した。

▽憲法改正

 安倍晋三首相が憲法論議推進の是非を問うと争点化した改憲を巡っても与野党が駆け引きを繰り広げた。

 大分の自民現職は、党憲法改正推進本部の副本部長で、首相補佐官も務めた側近。「安倍総理、自民党のためではなく、国民のための憲法改正をしないといけない」と述べたが、8分の演説のうち改憲に触れたのはこの20秒間だけ。9条改正の考え方などを説明することはなかった。「大事な公約ではあるが、前面に出しても票にはつながらない」と陣営関係者は漏らす。

 対する立民、国民、社民が推薦する無所属新人は一切触れず。演説前の取材に「改憲の詳細な話をしても、有権者に立ち止まって聞いてもらえないだろう」と話した。候補者本人は改憲反対だが、野党間のスタンスが異なっていることも背景にあるとみられる。

 被爆地、長崎では与野党候補とも口をつぐんだ。自民現職の後援会幹部は「憲法の問題は(有権者にとって)自分ごととして考えてもらいにくい」。推薦を受ける公明が改憲に慎重なことへの配慮も透ける。

   ◇    ◇

女性候補最高28.1%

 女性の候補者は全国で104人(選挙区56人、比例代表48人)で、全体に占める割合は過去最高の28.1%となった。九州の7選挙区の女性候補者は6人で同23.1%。今回の参院選は、政党に候補者の男女数をできるだけ均等にするよう求めた「政治分野の男女共同参画推進法」が昨年5月に成立して初の大型国政選挙となる。

 福岡選挙区(改選数3)には9人が立候補し、うち女性は3人。ある女性候補は第一声で「育児、家事、介護など目に見えにくい労働の多くは私たち女性が担っている。女性の声に丁寧に寄り添い、国政に届けたい」と訴えた。前回2016年は九州7選挙区に女性8人が名乗りを上げたが、当選は1人にとどまっただけに、当選者に占める女性の割合が注目される。

 九州7選挙区の政党別女性候補は、国民民主2人、共産1人、諸派1人、無所属2人。現職7人を擁立した自民と、女性候補の数値目標を掲げる立憲民主はゼロだった。

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