長雨後の土砂災害警戒 専門家「地層崩れやすい状態」

西日本新聞 社会面

 長雨の後は地層深くに水が浸透し、土砂災害が起きやすくなる。過去には、雨が降っていなくても大規模な土砂災害が発生したケースもあった。今回、九州南部を襲った記録的大雨のピークは過ぎたものの、専門家は「地層は不安定になっており、引き続き警戒が必要」と呼び掛ける。

 鹿児島県出水市では1997年7月10日、建設中の砂防ダムの約400メートル上流で、山腹の斜面が高さ約200メートル、幅約100メートルにわたって崩落。土石流となって下流域に流れ込み、21人が犠牲になった。市によると、7~9日にかけて降雨が続き、降り終わった約4時間後に崩落が起きた。

 多数の犠牲者を出した昨年7月の西日本豪雨の際も、降りやんだ状態にもかかわらず、広島県府中町の榎川で土石流が発生し、周辺の民家などに土砂が流入した。町によると、少なくとも前日からは雨が降っていなかったという。

 なぜ、雨がやんでも土砂災害は起きるのか。九州大大学院の橋本晴行元教授(河川工学)は「長く降り続いた雨は地層にゆっくりしみ込んでいく。雨がやんで地表の水分が流れきっても、地層は湿潤状態になり、崩れやすくなっている」と指摘する。

 橋本元教授によると、1時間雨量100ミリを観測したり、降り始めからの総雨量が千ミリを超えたりして地中に含まれる水分が一定量を超えた場合、大規模な斜面崩壊が起きるリスクが高まる。崩壊した土砂がその場にとどまらず、山肌を滑り落ちれば、土石流を引き起こす恐れもあるという。

 土石流の発生は前兆現象として、石が転げ落ちてくる▽腐った土のにおいが漂う▽山鳴りがする▽河川の水が濁り、流木が交ざる‐などの特徴がみられる。

 橋本元教授は「特に、ハザードマップで土砂災害警戒区域に指定されている住民は、前兆現象に注意し、しばらく警戒してほしい」と話している。

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