朝倉市、半壊以上など1069世帯 集落復帰半数止まり

西日本新聞 一面

被災者の居住地(2019年5月末現在) 拡大

被災者の居住地(2019年5月末現在)

 九州豪雨に見舞われた福岡県朝倉市で、半壊以上と長期避難など1069世帯のうち、元の集落に戻れた被災者は602世帯と全体の56・3%にとどまり、特に被害が大きかった高木地区は14・8%、杷木松末(ますえ)地区は18・5%と2割以下であることが分かった。市の被災者台帳(5月末現在)を基に調べた。被災から丸2年を迎える中、多くの人が古里に帰れていない現状が明らかになった。

 山間部で被害が甚大だった同市黒川を含む高木地区は、101世帯のうち仮設に58世帯(みなし29、応急29)が暮らす。自宅再建や民間賃貸へ転居した世帯は市外や別地域への移転が多く、元の集落に戻れたのはわずか15世帯と全体の14・8%だった。杷木松末地区は162世帯のうち仮設に71世帯(みなし56、応急15)が暮らしており、元の集落に戻ったのは30世帯、18・5%だった。杷木志波地区も前の集落に戻ったのは54世帯のうち16世帯と3割以下だ。

 高木、松末両地区の一部は長期避難地域に指定されており、元の集落に戻れない状態が続く。松末で自宅が一部損壊した井上美代子さん(68)は市内の別の集落に仮住まいしている。古里に帰りたい気持ちは募る一方だが「いずれは帰るつもり。でもいつ解除されるか分からないから…」。

 一方で元の集落に戻った人も、被災前とは一変した地域の現実に頭を抱えている。流れ込んだ泥を片付け、約2週間後に自宅に帰った松末地区の高倉保之さん(67)は「自分らが戻っても両隣は帰ってこん。地域の活動とかが今まで通りにできない」と話す。

 被災後のコミュニティーを復興していくためには何が必要か。九州大の塚原健一教授(防災学)は「子育て世代、勤労世代が地域に戻ることが必要」と指摘する。昨年4月、塚原教授が同市の被災者台帳を年齢別、移転先別に分析したところ、市内に移転した19歳以下は全体の10%だったが、同県うきは市は22%、同久留米市は18%と高く、子育て世帯の市外移転が多いことが分かった。子を持つ世帯は、移転先で新たな生活に順応し、そこで自宅を再建するケースがある。塚原教授は「応急復旧の完了時期が地域の人口回復と密接に関連している」と話している。

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