野党共闘 多弱の汚名返上できるか

西日本新聞 オピニオン面

 安倍晋三首相の「1強政治」を招いた大きな要因が、分裂と対立を繰り返して弱体化した野党にあるのは言うまでもない。

 「1強多弱」と呼ばれる政治状況の出現である。それは、政権交代が可能な二大政党制を志向する1990年代以降の政治改革が想定していなかった事態と言っていい。

 長期政権の是非を問う今回の参院選は、野党にとって「多弱」の汚名を返上する契機になるかどうかの正念場である。

 野党各党がばらばらのまま与党に対抗しても勝ち目は乏しい。選挙戦術として野党が可能な限り連携し、統一候補を擁立して与党との対決構図をつくるのは当然の選択と言えよう。

 参院選で勝敗の鍵となるのが、定数1の「1人区」だ。与野党で議席を分け合うことが多い定数2以上の複数区に比べて、1人区は野党が結束すれば与野党の激突が実現し、全体の選挙結果にも大きく影響する。

 立憲民主党▽国民民主党▽共産党▽社民党▽衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の野党5党派は、全国32の1人区全てで候補を一本化した。紆余(うよ)曲折もあったが、主要な野党が1対1で巨大与党に挑む構図をつくって政権批判の受け皿を整えたことは率直に評価したい。

 自民党総裁の安倍首相は党首討論会で「ただ政府を倒すためだけに統一候補を立て(選挙が)終わったら、またばらばらになる。『決められない政治』の再現ではないか」と批判した。

 これに対し、立憲民主党の枝野幸男代表は「(安倍政権で成立した)安全保障法制の廃止で一致している」「当面の最重要課題は国民の暮らしを守ることだ。生活防衛という観点で5党派は完全にまとまっている」などと反論している。

 首相が野党共闘の弱点を突くのは、その成果を警戒しているからにほかならない。6年前の参院選1人区(当時は全国31)で自民は29勝2敗と圧勝した。しかし、主要野党が一本化した3年前は21勝11敗と野党の健闘が目立った。今回はどうか。

 5党派は、安全保障関連法の廃止を求める「市民連合」の政策要望書に署名している。9条改憲反対、10月の消費税増税の中止、原発ゼロを目指す-など13項目を事実上の「共通政策」と位置付けるが、その受け止め方は各党派で微妙に違う。統一候補に対する相互応援態勢も選挙区事情などで濃淡がある。

 確かに「反自民」の一点張りでは物足りない。政策本位で政権を担う展望を具体的に語ってこそ、野党の主張は説得力を持つ。そう指摘しておきたい。

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