【備えは】住民「風化させない」 西日本豪雨 夫婦犠牲の門司区奥田地区

西日本新聞 北九州版

 北九州市門司区奥田の夫婦が犠牲となった昨年7月6日の西日本豪雨から、1年を迎えた。被災現場には早朝から遺族や地域住民が集まり、夫婦の冥福を祈った。地元の奥田下(しも)町内会が主催して営まれた追悼集会。「みんなで力を合わせ、災害前の奥田地区にしたい」。二家(にけ)秀俊会長(70)は、力を込めて参加者に語り掛けた。

 斜面地に立つ住宅群。「命からがら逃げた」。住宅の中で一番高い場所に住む男性は、1年前をこう振り返った。この日の朝、気が付くと家の前の坂道は濁流で滝のような状態。急いで避難した。「携帯電話を忘れたが、戻ろうにも戻れなかった」。豪雨を教訓に現在、降雨時にはいつでも避難できるように備えている。

 追悼集会は、犠牲となった夫婦の自宅跡で営まれた。住民手作りの祭壇に、無数の花が手向けられた。あの日、住宅群に接する山林が崩れ、夫婦宅に流れ込んだ。近くの主婦土井聖子さん(68)は「怖かったろうなと思う。地域で追悼集会の準備をした。喜んでくれたらいい」としのんだ。

 崖崩れが起きた現場では、県による防災工事が来年3月まで続く。山肌が丸見えとなり、いくつものブルーシートに覆われている。「山を見るたびに、恐怖がよみがえる」。工事現場を見つめる近所の女性(71)は、そうつぶやいた。「早く工事が終わってほしい。安心したい」と話した。

 町内会の谷次辰巳副会長(65)は「40年ほど住んだ土地。住み慣れたところにいたい」と強調する。ただ、地区の高齢化は進む。住民の一人は「車を使うなど、自分たちで避難することが今後、難しくなる人も出るだろう」。この1年の間に地区を去った人もいる。

 それでも…。追悼集会で二家会長の言葉が響いた。

 「(昨年の豪雨災害が)風化しないよう、頑張っていきたい」

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