かんぽ保険料、二重払い2.2万件 手当金や営業実績目当て…解約時期遅らせる

西日本新聞 一面

保険営業を担当する郵便局員向け文書。乗り換え契約の際に、意図的に旧保険の解約時期をずらさないよう指導している 拡大

保険営業を担当する郵便局員向け文書。乗り換え契約の際に、意図的に旧保険の解約時期をずらさないよう指導している

「乗り換え潜脱」の仕組み

 かんぽ生命保険が顧客に不利益となる保険の乗り換え契約を繰り返していた問題で、半年以上、新旧の保険料を二重払いさせたケースが2016年4月~18年12月で約2万2千件に上ることが、西日本新聞が入手した同社の内部資料で判明した。一部の郵便局員が乗り換え契約の事実を隠すため、旧保険の解約時期を意図的に遅らせたことが原因とみられる。社内で「乗り換え潜脱(せんだつ)」と呼ばれ、新規契約時に支給される手当金や営業実績目当てで横行しているという。

 かんぽ生命は6月27日、不適切な乗り換え契約が約2万4千件見つかったと発表したが、これとは別に乗り換えを巡る新たな問題が発覚した形だ。

 保険業法は保険契約の際、顧客に内容を丁寧に説明するよう義務付けている。金融庁は「十分な説明がないまま顧客に不利益な契約内容になっていれば、(同社に)説明を求めることになる」としている。

 複数の関係者によると、同社の内部規定では新しい保険を契約後、6カ月以内に旧保険を解約したケースを「乗り換え」と定義。乗り換えは保険料が上がるなど顧客の不利益につながることが多いため、契約した局員に支払われる手当金や営業実績は「新規契約の半分」と規定している。

 このため、一部の局員が手当金を満額受給する手口として、顧客に「新契約の申し込み後6カ月間は、旧契約を解約できない」と虚偽の説明をするなどし、7カ月後に解約させる不正販売が相次いでいるという。

 同社の内部資料によると、7カ月後の解約に伴う保険料の二重払いは、16年度約6400件▽17年度約8500件▽18年4~12月約7千件‐だった。

 一方、新規契約の4カ月以上前に旧保険を解約した場合も手当金が満額支給される。この場合、顧客は解約から新規契約までの間、無保険状態で保障を受けられない。4~6カ月間無保険だったケースは、16年度約1万7100件▽17年度約1万6600件▽18年4~12月約1万3千件‐の計約4万7千件に上った。

 取材に対し、同社は「局員の都合で意図的に解約時期をずらす行為は、顧客に不利益を与える問題だと認識している。疑わしいケースは、顧客に契約時の状況を聞き取るなど対策を進めている」と答えた。

 かんぽ生命保険の不適切販売 かんぽ生命保険は6月27日、同じ種類の保険を一度解約して再び契約する乗り換えにより、顧客が不利益になったと疑われる件数が2万3900件あったと発表した。このうち旧保険を解約後に病気などで新しい保険の契約が結べず、顧客が無保険状態になった事案は2014年4月からの5年間で約1万5800件に上った。乗り換え時に持病などの告知に不備があり保険金を受け取れなかった事案は約3100件。乗り換えではなく、特約の切り替えで対応できた事案も17年10月以降で約5千件あった。

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