博多に山笠の季節がやって来た

西日本新聞 社会面

 博多に山笠の季節がやって来た。期間中、随所で聞かれるのが博多の祝い唄(うた)だ。櫛田入りの「祝いめでた」は雄々しいが、流(ながれ)の男たちが目頭を熱くして歌う場面もある。

 遺族が待つ家の前に舁(か)き山が止まる。祭壇には遺影と法被。台上がりが故人に謝辞を述べ、舁き手全員で祝い唄を歌う。在りし日の法被姿が浮かんで涙する男たちもいる。

 「追善山」は故人の祭りへの功労を祝い唄でたたえ、大好きだった山笠と一緒に見送る儀式。あの世にいる山のぼせの「最後の晴れ舞台」だ。

 去った命をいとおしむ祭りは、育つ命も慈しむ。舁き山の先走りをする子どもたちを見守るのは、健脚の舁き手たち。疾走する山笠に付かず離れず、子どもたちが安全に楽しく走れるように誘導する。

 直会(なおらい)では、子どもたちに袋いっぱいの菓子を持たせて帰す。「追善山の日は、菓子ばうんと買(こ)うとっちゃれ」。病床で頼んで逝った父の言葉が胸に残る。 (手嶋秀剛)

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