国会の行政監視 「官の不正」断ち切るには

西日本新聞 オピニオン面

 国民の目を欺く「官の不正」が後を絶たない。それぞれに固有の原因や背景があることは否定しないが、こうも続発すると、統治機構の構造的な問題として考えざるを得ない。

 三権分立に基づく民主主義の機能不全である。肥大化する行政府(内閣)に対して立法府(国会)の監視機能が弱体化していないか-という問題だ。

 先の通常国会は毎月勤労統計の不正で幕を開けた。調査方法が勝手に改められ、ひそかにデータ補正する不正まで行われていた。厚生労働省の特別監察委員会が検証したが、不正の核心は不明だった。むしろ「身内に甘い」体質が問題化し、霞が関の自浄能力の限界を露呈した。

 ここは国会の出番だったが、その追及も尻すぼみに終わってしまった。参考人の招致や予算委員会の開催に消極的だった与党はもちろん、独自の調査能力を十分に発揮できなかった野党も反省すべきであろう。

 昨夏には中央省庁の障害者雇用水増し問題が発覚した。障害者手帳を持たない職員らを不正に計上し、法定雇用率を満たしたように偽った問題である。言語道断と言うほかない。

 さかのぼれば、厚労省による裁量労働制を巡る不適切データの提供や、海外派遣された陸上自衛隊の日報に関するずさんな文書管理、財務省による決裁文書の改ざんを引き起こした森友学園問題と、驚くべき「官の不正」の連鎖である。

 その多くは詳細な原因や動機まで徹底的に究明されず、責任の所在も曖昧だ。従って再発防止策もおぼつかない。この悪循環は断ち切らねばならない。

 例えば統計不正は2度の政権交代をかいくぐって不正が継続された。与野党の垣根を越えた立法府全体の取り組みが必要なテーマとも位置付けたい。

 1府12省庁への再編、経済財政諮問会議の創設、省庁幹部人事を掌握する内閣人事局の発足など一連の改革を経て、首相官邸の機能は格段に強化された。対照的に「1強多弱」と呼ばれる国会は、圧倒的な「数の力」が幅を利かす中で行政監視機能は衰えたと指摘されて久しい。

 立憲民主党など野党5党派は先の国会で、衆参両院に「行政監視院」を新設する法案を衆院に共同提出した。与党も対案を含めて検討してはどうか。

 衆院とは異なり解散がなく腰を据えて審議できる参院には、独自の常任委員会として行政監視委員会がある。参院改革の一環として、1998年に設置された。これを活性化させる方策も検討に値する。そうした議論を深めてほしい。

PR

PR

注目のテーマ