新時代を託す 日田市長選(2)観光振興 「まちの魅力を見直して」

西日本新聞 大分・日田玖珠版

 夏の訪れを告げる日田市の一大イベント、日田川開き観光祭。改修を終えたばかりのJR日田駅前広場では、東京五輪・パラリンピックの応援ソングに合わせて、地元小学生が元気なダンスを披露していた。出店や大型アスレチックも登場し子どもたちの歓声が響く。「開放感があっていいね。寂しい駅前がいつもこんなに盛り上がれば観光客も楽しいだろうね」。同市大鶴地区の男性(65)はまちのにぎわい復活に期待をにじませた。

 市は、利便性向上とともに「日田の玄関口」のにぎわい創出を目指し、5億3800万円かけて駅前を改修した。整備された広場では今後も定期的にイベントを開き、駅舎2階を簡易宿泊施設として整備する事業と合わせ、市中心部の活性化を図っていく方針だ。

 駅舎や駅前整備には、増え続けるインバウンド(訪日外国人客)を取り込む狙いがある。同市の昨年の宿泊客46万人のうち14・5万人が韓国を中心とした訪日客で5年前より10万人以上増加。今年は県内も会場になるラグビーワールドカップ、来年は東京五輪・パラリンピックが控える。

 人口減少が進む中、訪日客ら地域外から人を呼び込む「観光」の振興は地域活性化の鍵だ。だが態勢づくりは十分とはいえない。

    ◆   ◆

 人口減や大型店撤退などに伴い駅周辺の商店街から客足は遠のいた。市商店街連合会の平川正路会長によると1970年代、約530あった加盟店は現在約190。それだけに「新しい駅前広場を商店街再興の起爆剤に」と観光客の増加に期待を寄せる。だが経営者の高齢化や費用負担の重さから、キャッシュレス化など訪日客を見据えた対応は思うように進んでいない。

 日田商工会議所も観光の重要性を認識し、中小企業のキャッシュレス化を支援。同じ天領で訪日客が多い岐阜県高山市を念頭に「日田にも外国人が喜ぶ文化的遺産がある。魅力をもっと発信すべきだ」として、現在は木曜日に開催される日田祇園山鉾(やまぼこ)の集団顔見世の週末開催や、江戸時代の役所「日田陣屋」復元などを関係団体に働きかけるが実現には至っていない。十時康裕会頭は「観光は将来性ある産業。市全体で盛り上がる官民一体の取り組みが必要だ」と模索を続ける。

    ◆   ◆

 「キャッシュレス化や案内板の外国語表記、Wi‐Fi環境の整備…。足りないものはあるけれど、何より外国人の視点でまちを見直すことから始めては?」 訪日観光コンサルタントとして日田市に招かれ、5月から、駅前や観光地の活性化に取り組むハレ・ローランさん(30)は提言する。

 江戸時代の風情が残る豆田の古い町並みや隈の温泉街、小鹿田焼は日田の財産。だがスイカ割りや餅つき、弁当作りなど何気ない日本の風習や文化も外国人には興味の対象になるという。店先にある小鹿田焼にすぐに興味を示す人はまれだが、制作工程を見せ、体験させれば、それが大きな購買の動機にもなる。

 「新しいものを作らなくても、今あるもので魅力的な商品は十分作り出せる。それを行政が、市民や日田に住む外国人を巻き込んで、インターネットなどで積極的に発信していくことが大切だ」。観光を考えることは、市民一人一人が日田のまちを見つめ直す機会なのかもしれない。

大分県の天気予報

PR

大分 アクセスランキング

PR

注目のテーマ