SL走行 被災地を元気づけ 久大線に半世紀ぶり

西日本新聞 大分・日田玖珠版

 蒸気機関車(SL)が9日、JR久大線を約半世紀ぶりに走り、大分の山あいに煙がたなびいた。その力強い“雄姿”は、九州豪雨で傷ついた沿線を活気づけていくようだった。

 SL湯けむり号は午前9時20分に日田を出発。豊後森や由布院などに停車し、午後2時45分に別府に到着するスケジュールで運行された。

 列車には約100人が乗車した。日田では子どもたちなど約150人が手を振って見送り、列車が動きだすと、車内からは一斉に拍手が起きた。

 夫婦で乗車した杵築市中山香の石井充子さん(73)は目頭をぬぐっていた。石井さんの実家は駅に近く、かつてSLが汽笛を鳴らして走っていたという。「幼い頃の父や母との思い出が汽笛の音とともによみがえるんです。年がいもなく、会いたくなって」

 SLのスピードはディーゼル列車よりゆっくりで、登り坂では黒々とした煙を吐き出し、きつそうに上っていく。沿線では大勢の住民が手を振り、SLを後押ししているようだ。初めてSLに乗った鉄道マニアの大阪府茨木市の会社員小西俊彦さん(56)は「あちこち鉄道を見てきたが、声援に驚いた。心がこもってますね」。

 SLは豊後森の先の登り坂を踏ん張り、水分峠の長いトンネルを抜けた。小雨が降っていた空から、希望の光のように薄明かりが差した。

 企画した「大分にSLを走らせる会」の利光直人実行委員長(72)は「沿線の人出は想定をはるかに超えていた。地域振興へ向け大きな潜在力を感じた」と力を込めた。

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