続く差別解消の契機に ハンセン病家族訴訟33歳原告「やっとスタート」

西日本新聞 社会面

 思いのほか早い朗報だった。9日朝、東京の空港に降り立った沖縄県の女性原告(33)は、携帯電話に飛び込んだ弁護団や家族からの「控訴断念」の知らせに喜びをかみしめた。ハンセン病家族訴訟控訴期限の12日に向け、原告団と行動するために、仕事を休んで駆け付けたところだった。「差別解消へ、やっとスタートが切れる」

 裁判では「若手代表」を自任。今に続く差別を訴え続け、法廷では意見陳述もした。原告561人の中で20~30代は28人。多くが公の場での発言を避けた。

 同居する70代の母親は、12歳でハンセン病療養所に入所した元患者だった。家族訴訟の提訴が決まった2016年、本人の口から初めて告げられた。

 幼い頃からうすうすは気付いていた。母は自身の子ども時代を語らず、近所の大人たちも異様なほど近寄って来なかった。顔見知りの少年からは「ばい菌、近づくな」と言われた。

 裁判のさなか、同世代の男性が、提訴を機に親の病歴を妻に打ち明けて離婚に至った。自分の身に置き換えて悩み、悔しさを募らせた。熊本地裁判決は「差別は今も続いている」と認め、その痛みに応えた。

 ただ、判決は2002年以降の被害に対する国の責任を認めていない。女性は、幼い頃から母の病歴に気付いていたとして賠償が認められたが、賠償から漏れた20人は同世代が多い。今後、国が差別解消や救済にどう取り組むのか。「むしろこれからという感じ。しっかり働き掛けたい」

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ