お金の大切さと使い方が楽しんで身につく、アイデアあふれるお金の教科書

西日本新聞

 ちょうど大阪でG20サミットが開催されていた時期でもあったからだろう。初めて本書を手に取った際、目次に記された次の言葉が目に飛び込んできた。

「おこづかいサミット」

 Oh、なんてチャーミングな名前のサミットだろう。連日テレビに映る大人たちの狡猾(こうかつ)そうな表情など一瞬で吹き飛び、代わりに会議なんて放り出して、元気いっぱいに駆け回るさまざまな国のチビッコたちの姿が思い浮かぶ。

 とはいえ、「おこづかいサミット」はそうした国際的なイベントではない。本書は子育て世代の親に向けて書かれた、子どもにお金の大切さや正しい使い方を身につけてもらうためのノウハウを教えてくれる本である。著者はファイナンシャル・プランナーであり、全国各地で開催中のセミナー「キッズマネースクール」の代表も務める三浦康司氏。セミナー自体がワークショップ形式ということもあってか、本書で取り上げられているアイデアも極めてユニークだ。「おこづかいサミット」も、そのうちの一つである。

「おこづかいサミット」とは、おこづかいの金額や使い方を定期的に見直すための家族会議のようなもの。そこで子どもがおこづかいアップを要求する場合、「おこづかい提案書」の提出が必要になる。ちなみに本書には、著者の次女による手書きの提案書が見本として掲載されているのだが、「私は高校に入学すると、友達とのつき合いの範囲が広がります」と始まる文章は、親でなくてもおこづかいを増やしたくなるほど心揺さぶられる名文である。

 おこづかいの使い方として、必ず他人のために使う「ありがとう枠」を設けるというアイデアも秀逸だ。使途は家族や友人へのプレゼント、寄附など。親なら誰もが「子どもにはお金に困る人生を送ってほしくない」と願うだろうが、かといって利己的な人間や守銭奴には育ってほしくないはずだ。ますますキャッシュレス化が進む現在、「子ども用のモノはネットショップではなく実店舗で買おう」といったうなずけるアドバイスも多い。

「子どもってどうしたら産まれるの?」という質問に対しては、一応「コウノトリさんが」という定番の答え方がある。しかし、性と同じく人生において重要な、お金の価値や使い方を教える教科書は存在しない。そういった意味でも、子どもの疑問に即答できるお金の用語集までついた本書は、『家庭の医学』と並べて置くべき本と言えるかもしれない。

 

出版社:青春出版社
書名:10歳までに身につけたい子どもが一生困らないお金のルール この小さな知恵が、生き抜く力を育てます
著者名:三浦康司
定価(税込):1,490円
税別価格:1,380円
リンク先:http://www.seishun.co.jp/book/21139/

西日本新聞 読書案内編集部

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