筑前竹槍一揆農民目線で小説に 「百姓組頭・井上勝次」福津市の平木さん発刊

西日本新聞 ふくおか版

 明治初期に県内各地の農民が蜂起した「筑前竹槍(たけやり)一揆」で罪人として処刑された農民、井上勝次を描いた小説「百姓組頭・井上勝次」が命日である14日に発刊される。福津市の元会社社長、平木俊敬さん(70)が2年がかりで資料を集め、書き上げた。井上も使ったであろう福間弁を駆使し、社会変革の荒波にほんろうされた、当時の農民の思いや生活を描いた。

 筑前竹槍一揆は1873(明治6)年6月に発生。明治政府による徴兵制など新政策への不満が潜在的に農村にあり、大干ばつをきっかけに爆発したとされる。現在の福津市本木で組頭をしていた井上は同じ村の約60人と参加。県庁を目指した一揆勢が途中で大蔵省役人を殺害し、その首謀者とみなされた。

 10万人もの参加者の中で処刑されたのは4人。一農民であった井上がなぜ処刑されたか、詳細は分かっていない。平木さんは地元の追悼行事に参加しながら「罪人とされながら地元に墓がある。慕われる人物だったのだろう」と興味を持ち、研究を始めた。

 小説は257ページ。維新前後の歴史を説明し、史実に現れない部分を井上の目線による一人称小説にした。農作業や副業、村落行事など、丹念に農民の暮らしを描き、豊かな方言で井上と家族のやりとりを描いた。「歴史の渦に巻き込まれながら、家族や村を守ろうと運命に立ち向かったのではないか」との思いを込めた。

 発刊の日は井上を追悼する「睡蓮(すいれん)忌」が14日午前10時から同市本木の西法寺で営まれる。平木さんは「混乱の時代に懸命に生きた人々がいたことを伝えるきっかけになれば」と話している。 

   ◇   ◇

 税別1500円で県内書店に並ぶ。のぶ工房=092(531)6353。

PR

PR

注目のテーマ