“かぶりモノ”が街を語る ギンギラ太陽’s最新作「路線なき戦い2019年版」18日から西鉄ホールで

西日本新聞

西鉄バスの「かぶりモノ」を着け、見どころを語る大塚ムネトさん 拡大

西鉄バスの「かぶりモノ」を着け、見どころを語る大塚ムネトさん

ギンギラの公演ではおなじみの「西鉄バス軍団」

 福岡市を拠点に活動する劇団「ギンギラ太陽’s」の最新作「路線なき戦い 2019年版『空に消えたロープウエー』」が7月18日~21日、福岡市・天神の西鉄ホールで上演される。デパートやスーパーなどの「かぶりモノ」たちが福岡の街を語る同劇団だが、今回の主役は、いつもは脇役の交通機関たち。主宰の大塚ムネトさんは「現実を限りなく踏まえた“大ボラ話”を楽しんでいただければ」。

 「地元密着エンターテインメント」を掲げるギンギラの舞台は、綿密な取材に基づいて構成。1997年の旗揚げ以来、商業施設間の争いをはじめ、福岡の街の歴史と“時事ネタ“を取り込み、笑いと涙の物語を生み出す。

 今回上演する「路線なき戦い」は2004年にオリジナル版が制作された。福岡のバス路線を制する「西鉄組」こと西鉄バスと、「渡辺通りを走りたい」と思いを募らせる「昭和組」こと昭和バスの戦いを描く。

 それから15年を経た今回は、福岡の街の変化を取り入れた「増補版」。05年には市営地下鉄七隈線が開業し、現在は延伸工事も進んでいる。覇権争いの舞台となる渡辺通りでは、福岡ビル(福ビル)が今年4月に閉館。イムズの営業終了も昨年発表された。

 そして今回、重要な役割を果たすのが「ロープウエー」だ。JR博多駅前から大博通りを博多湾に向かう福岡市のロープウエー構想は一時注目されたが、今年3月、議会の慎重論などを受け撤回された。

 大塚さんは「大博通りのヤシの木を見ると、ロープウエーの支柱に見えて仕方ないほど、実現は近いと思っていた」と話す。「福岡ではこれまでも油山や西公園など、ロープウエー構想が何度も生まれては消えた。さすがに今度ばかりはロープウエーも『小言』を言いたくもなるだろう、と。それで、物語では黙っていられなくなって登場します」

 今回は、60年以上にわたり天神交差点の発展を支えた福ビルが初めて「かぶりモノ」になるほか、新施設に向けて解体されるイムズによる「決意表明」もある。「キャラクターたちはすべて、現実に根ざしている。限りなく今の街を踏まえながら、ビルや街が泣いて笑うエンターテインメントを作っていきます」

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 今回の主役ともいえる「西鉄バス軍団」はギンギラ旗揚げ翌年の1998年に生まれた。キャラクターの中でも最もなじみ深い。

 開場から開演まで30分間、観客を待たせる。舞台と客席で演者と観客が分かれる――。ギンギラを始めた当初、大塚さんはこうした演劇の形を壊せないかと考えていた。そのときに想起したのが西鉄バスだ。「バス軍団を作って、客席の通路を道路に見立てて開演前にキャラが縦横無尽に走り回って、お客さんと記念写真を撮る。『お約束』を壊して、お客さんと一緒に盛り上るギンギラらしさを演出することができました」

 もちろん、現実の西鉄バスは交通ルールを守る。ほどなく、大塚さんの元に、運行する西鉄から呼び出しがあった。「間違いなく怒られるだろう、と思っていたら、逆に許してくれました」さらに、西鉄ホールでの公演まで認められた。 

 拠点・福岡から離れた“地方公演“でも、開演前には西鉄バス軍団が走り回る。路線バスは全国共通ということもあり、場所を問わず客が楽しんでくれるという。「ギンギラの世界観に福岡のお客さんを連れて来て、西鉄さんとの縁をつくり、初対面の全国のお客さんとの距離を縮めてくれる、バス軍団は本当に大事な存在です」

 登場から20年を超えたバス軍団。今やバスのかぶりモノは十数台の西鉄バスを軸に、昭和バス、高速バスなど約30個に上る。西鉄グループのバス車両保有台数は2015年に日本一となるなど全国有数の規模。他にはないスタイルで演じるギンギラの「バスかぶりモノの保有台数」もまた、数ある全国劇団で随一(唯一?)と言えるだろう。

 

路線なき戦い 2019年版「空に消えたロープウエー」 7月18日(木)~21日(日)、福岡市中央区天神の西鉄ホール。全席指定4000円。問い合わせはピクニックチケットセンター=050(3539)8330(平日午前11時~午後5時)。詳しくはこちら

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