負担増に悲鳴、ぬぐえぬ不安 消費税増税・年金 参院選

西日本新聞 長崎・佐世保版

長崎市の商店街に掲げられたササ飾りの短冊 拡大

長崎市の商店街に掲げられたササ飾りの短冊

 参院選で、暮らしに直結する消費税増税と年金が注目されている。長崎市の住吉・中園商店街で有権者の声を聞くと、生活への不安の言葉が矢継ぎ早に返ってきた。

 長崎大の女子学生(22)は仕送りと塾バイト代の月6万円ほどで暮らす。自炊で出費を抑える時間の余裕はない。10月には消費税が10%に引き上げられる。「学生にとって負担増は大きい」とこぼす。大学院への進学を予定するが、就職は地元の長崎県に残るつもりはない。「給与水準が低いから」

 現在、パートやアルバイトを含めた県内の労働者に適用される最低賃金(時給)は762円。全国平均の874円を下回り、全国で2番目に低い。長崎労働局によると、サービス産業の一部の分野ではこの賃金で働く正社員もいるという。

 県労働組合総連合(県労連)は今年6月、県内の10~30代の単身世帯141人へのアンケートを基に生活に必要な経費を算定した。家賃や物価などのデータと聞き取り調査を加味した結果、長崎市で1人暮らしをする大卒・勤続3年の25歳を想定した場合、年収約270万円(税金・社会保険料込み)が必要、との結果になった。月150時間労働で換算すると、時給1500円。医療費や食費を削る若者の姿が浮かぶ。

 調査に協力した静岡県立大短期大学部の中澤秀一准教授(社会保障論)は「消費税増税でさらに生活は苦しくなる」と話す。

 長崎選挙区に公認候補を出している自民、国民民主をはじめ各党が最低賃金引き上げを公約に掲げ、政党側も注視する。

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 商店街で買い物をしていた主婦(35)は、増税で得た財源を10月からの幼児教育・保育の無償化に充てるという安倍晋三首相の考えに理解を示す。小学3年の長男は学習塾に通い、習い事もある。2人目も生まれたばかりで「子育て支援に回るならうれしい」。

 一方、自身の老後の不安も募る。年金だけでは生活費が2千万円不足する、とした金融庁審議会の報告書を政府は「誤解を与える内容」として受け取らなかったが、高齢者が増えていく現状を考えると、大きく外れているとも思えない。主婦は「私も仕事を始めるつもりだけどマイホームを持つのは厳しい」と話した。

 長崎市で自民党候補の応援演説に立った同党厚生労働部会長の小泉進次郎衆院議員は「年金や老後の不安をゼロにはできないが、小さくすることは必ずできる」と強調した。だが、年金に対する国民の不信感はぬぐえていない。商店街に置かれたササ飾りの短冊には、子どもたちの夢とともに大人たちの切実な願いが書かれていた。

 「老後の生活が豊かになりますように」

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