現実離れのノルマなお かんぽ不正販売 発覚後も現場に圧力 (2ページ目)

西日本新聞 社会面

 一連の不正販売の背景には現場に課される現実離れしたノルマがある。社長が謝罪に追い込まれるきっかけとなった二重払いも、旧保険の解約時期を意図的にずらすことで新規契約を装い、営業実績を満額得るためだったとみられる。

 なぜ、顧客は二重払いに気付かなかったのか。数カ月前に退職した九州の元局員は「気付かれないよう工夫していた」と証言する。その一つが乗り換え契約時、顧客に旧保険の解約を遅らせることを告げず、新規契約は1年分の保険料を一括で支払うよう促す手口だ。「月払いだと、通帳をみれば二重払いが発覚してしまう」からだ。

 新しい保険の契約から7カ月後に旧保険を解約する「後7」が社内で問題視されるようになると、解約時期を1年半後に延ばす手口が横行。関西の局員は「7カ月後の解約なら不正と疑われるが、二重払いの期間を1年半後に延ばせば『優良契約』になる。より悪質な販売をした方が評価される会社だ」と自嘲気味に話す。

 10日の記者会見で、日本郵便の横山邦男社長はノルマ見直しを含む再発防止策を発表した。だが現場では「相続税対策」と虚偽説明するなどして販売する“巧妙な話法”がいくつも存在しており、局員らは実効性に懐疑的だ。

 関東地方の局員は「不正販売をしないよう指示があるたびに、新たな抜け道が生み出されてきた。今回も、いたちごっこになるだけではないか」と懸念。日本郵便幹部も「民営化後、収益一辺倒になって顧客本位の姿勢を忘れてしまった。果たしてやり直せるだろうか」と嘆く。

 熊本学園大の坂本正シニア客員教授(金融制度論)は「再発防止策を打ち出しても、局員を不正営業に追い込む体質が変わらなければ意味がない。経営陣には、地域に寄り添う郵便局のビジネスモデルを壊してしまった重い責任がある」と批判した。

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