参院選1人区を歩く(4)大分 憲法隠し 無党派奪い合い

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 「憲法議論を進める政党を選ぶのか、議論さえ反対する政党や議員を選ぶのか。それを選ぶ選挙だ」

 公示後初の日曜の7日夜。大分市の外れにある公民館で下村博文・自民党憲法改正推進本部長は、改憲議論を強く呼び掛けた。

 会場のパイプ椅子には、二階俊博幹事長。9日は菅義偉官房長官、11日には安倍晋三首相も駆け付け、党を挙げて自民現職の礒崎陽輔氏を支援する。

 元首相補佐官の礒崎氏は、党憲法改正草案の作成に深く関わり、党憲法改正推進本部副本部長を務める改憲論者。だが、改憲に前のめりな発言を繰り返す党幹部とは対照的に、礒崎氏が演説で改憲に触れる機会は少ない。4日の出陣式では、8分の演説のうち触れたのは20秒にとどまった。

 支持労組の組織力を強みにした野党に、自民が苦戦を強いられてきた大分。前回2016年参院選も安倍首相ら党幹部を総動員したにもかかわらず、自民新人が野党統一候補の民進(当時)現職に1090票の僅差で競り負けた。とりわけショックだったのは、無党派層の6割超が野党に投票したことだ。礒崎陣営の関係者は「(改憲は)大事な公約だが、語ったとしても幅広い票につながるわけではない」と声を潜める。

 礒崎氏が力点を置くのは、無党派層を意識した身近な暮らしの施策。7日の演説でも「中小企業の賃上げ、教育費への支援、高齢者も若い人も笑顔になる政治をする」と訴えた。

 公示前日の3日には、製鉄、化学など大手企業のプラントが集まる「新産都企業群」の幹部や社員を集めた会合を開催。政権与党としての強みを生かし、野党の支持基盤に対して企業側から切り崩しを図る。

 連合大分が推薦する野党統一候補の新人安達澄氏がターゲットとするのは、無党派層や年齢の近い若者、主婦層。公示後はポロシャツに青いズボン姿で遊説し、爽やかさと若々しさを強調したイメージ戦略を貫く。

 安達氏も憲法問題には触れず、演説では「地方主体」「現場第一」に終始する。総合選対本部長の佐藤寛人・連合大分会長は「保守層を取り込まないと勝てない」と戦略を明かす。

 安達氏擁立は連合大分が主導し、立憲民主、国民民主、社民の3党が推薦。共産も県レベルで支援している。憲法論議を避ける背景には、改憲を巡り野党4党のスタンスが異なることへの配慮も透ける。

 集票の鍵を握る連合大分の組合員は約5万人。近年は政治に関心の薄い若者が増えており、「傘下組織の結束力に陰りが見える」(関係者)。選対本部が締め付けを図るものの「現時点でまとまった票は6~7割。春の統一地方選の疲れもあってか、動きが鈍い」と陣営幹部は漏らす。

 16年参院選では、有権者の約4割を占める大分市で1万票以上の差をつけたことが勝因となった。ただ17年衆院選では、大分市が選挙区の1区で野党候補は自民候補に競り負けた。佐藤選対本部長は「われわれ連合や野党の踏ん張りどころだ。『非自民の牙城』の大分で、絶対に議席を獲得したい」と語る。

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