<かんぽ不正販売>取材続けた記者の思い 巨大組織を動かした「告発」 きっかけは一通のメール

西日本新聞 一面

 きっかけは昨年8月、郵便局員から本紙の「あなたの特命取材班」に届いた一通のメールだった。暑中・残暑見舞い用はがき「かもめ~る」の販売ノルマに苦しみ、自腹で購入する局員がいると訴えていた。

 こうした現場の実態を報じると、せきを切ったように現役局員からの告発が相次いだ。そのうちの1人が打ち明けた。「保険のノルマが最もきつい。一部の局員は、高齢者をだまして売っている」

 関係者から入手した内部資料には、保険内容を理解できない認知症の高齢者に法外な保険契約を結ばせる“犯罪まがい”の事例が列挙されていた。最初は半信半疑だった。

 郵便局は高齢者にとって身近で信頼されてきた存在のはずだ。その信頼を逆手に取るような保険営業。取材を重ねると、民営化後、社員約40万人、約2万4千局の郵便局ネットワークを維持するため、保険などの金融事業に依存する日本郵政グループのいびつな構造が浮かび上がってきた。

 過剰なノルマに苦しみ、心を病んだ多くの局員。自殺した局員もいるとの情報提供もあった。メイン商品の貯蓄型保険は低金利時代に入って魅力が薄れており、ある局員は「竹やりで他社と勝負しているような状況なのに、根性論で売ってこいと指示される。無謀なインパール作戦のようだ」と表現した。

 本紙は今年3月以降、不正販売の実態を繰り返し報じてきたが、かんぽ生命は高をくくったような対応を取り続けた。顧客に不利益となる乗り換え契約の実態が明らかになっても日本郵政の社長は「法令違反があったとは考えていない」と強弁した。

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