かんぽ不正契約 信用逆手に取る悪質行為

西日本新聞 オピニオン面

 慣れ親しんだ「郵便局」への信用を逆手に取った悪質な行為だ。顧客に不利益な保険商品の販売が全国で繰り返されていた。かんぽ生命保険と、商品の販売を委託された日本郵便は、不正が行われた背景を含め、その全容を明らかにし、顧客の被った損害や不利益の解消に全力を挙げなければならない。

 かんぽ生命の不適切な販売の事実は、6月下旬に報道で明るみに出た。既存の保険契約を解約して顧客に不利な保険に乗り換えさせたり、保険料を6カ月以上も二重払いさせたりする事例が全国で多発していた。健康悪化で乗り換え契約が結べないなど、不利益を被った事例が約2万4千件あった。かんぽ生命はこうした事実を社内調査などで把握しながら、対外的に公表していなかった。

 そればかりか問題が報道された直後は、顧客は同意しているなどとして「不適切な販売ではない」と言い逃れようとした。契約獲得目標の達成を最優先する顧客不在の営業が行われた現場と同様、発覚後の本社も顧客本位から懸け離れた対応だったと言わざるを得ない。

 かんぽ生命の植平光彦社長と日本郵便の横山邦男社長は10日、並んで記者会見し、顧客に不利益を生じさせたことを認め謝罪した。横山社長は「営業目標が高過ぎ現場に負担を掛けていたという認識はある」と述べ、郵便局や個人に課された過剰なノルマが問題の背景にあることを事実上、認めた。営業目標を引き下げるという。

 現場では乗り換え契約を、契約獲得時に出される営業手当がより高額な新規契約扱いにするため、旧契約の解約から新契約まで3カ月以上空けたり、新旧の契約を一定期間重複させたりする手口が横行していたようだ。無保険期間を設けるような営業は常識では考えられない。

 かんぽ生命は440人態勢で顧客に直接連絡を取り、実態を調べる。調査対象は少なくとも9万件以上でさらに膨らむ恐れもある。不利益が確認できれば本人の意向を踏まえ、保険を元に戻したり、二重払いされた保険料を返したりするという。

 保険商品の仕組みや契約内容は複雑で難解だ。かんぽ生命の顧客には高齢者も多い。契約乗り換えが本当に本人の意向だったかなど、丁寧な聞き取りに努めなければなるまい。

 保険業法は、保険料が高くなるなど重要な事項を説明しないで勧誘したり、不利益となる事実を告げずに乗り換え契約を勧めたりする営業行為を禁じている。親会社の日本郵政を含む3社で設置する第三者委員会で、問題発生の原因にまで踏み込み徹底的にうみを出すべきだ。

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